アーキテクチャが適切でないと、API はアプリケーションだけでなく、ビジネス全体にとってもボトルネックになる可能性があります。ダウンタイム、パフォーマンスの低下、またはアプリケーションの複雑さの増大などのボトルネックによって、インフラストラクチャおよび組織のコストの増大と収益の低下が生じる可能性があります。サーバーレス API は、自動スケール機能と使用量ベースの価格モデルによって、これらのボトルネックを軽減します。

サーバーレスをボトルネックの除去要素としてだけでなく、ビジネスの成功要因として捉え始めると、アプリケーション インフラストラクチャのレイヤーが新たな機会の源になります。これは特に API レイヤーに当てはまります。API は、ソフトウェア サービス間の通信手段としての従来の役割に加えて、ビジネスのスケーリング、新しい顧客の呼び込み、または既存の顧客に対する新しいサービスの提供のために製品化できるからです。

API と API ファースト アーキテクチャの優位性が増していることで、企業や開発者は、これらの恩恵を得るために、API と API ファースト アプリケーションをホストするサーバーレス プラットフォームに引き付けられています。API をホストするサーバーレス コンピューティングのオプションの 1 つが、オンデマンドでスケーリングできるイベントトリガー コードである Azure Functions で、使用した分だけ支払いが発生します。Gartner では、サーバーレス関数プラットフォームをデプロイするグローバル企業が、現在のたった 20% から 2025 年までには 50% になると予測しています。API Management を通じて Azure Functions を公開して、サーバーレス API のセキュリティ保護、変換、保守、監視を行うことができます。

製品化までの時間を短縮

アプリケーション スタックを最新化してサーバーレス プラットフォームでマイクロサービスを実行すると、内部の複雑さが低減され、新しい機能や製品の開発にかかる時間が短縮されます。各サーバーレス関数がマイクロサービスを実装します。単一の API Management 製品に多数の関数を追加することによって、それらのマイクロサービスを統合された分散型アプリケーションに組み込むことができます。アプリケーションがビルドされると、API Management のポリシーを使用して、キャッシュを実装したりセキュリティの要件を確実なものにしたりすることができます。

Quest Software では、Azure App Service を使用して、Azure Functions でマイクロサービスをホストしています。これらは、新しいテナントの登録といったユーザー機能と、他のマイクロサービスや、Azure Cosmos DB のマネージド NoSQL データベース サービスなどの他の Azure プラットフォーム リソースとの通信といったアプリケーション機能をサポートします。

"私たちは、市場への進出を自分たちだけで行うよりも短期間で実現するために、Microsoft によって構築されて Azure 内でリリースされたテクノロジを活用しています。Azure サービスを利用した過去 3 年の間、平均すると新機能を以前よりも 66% 早く市場に投入できました。" - Quest、代表取締役兼プラットフォーム管理担当本部長、Michael Tweddle 氏

Quest では、Azure Functions によってビジネス ロジックを実装する Quest On Demand マイクロサービスのサーバーレス API ゲートウェイとしてや、マイクロサービス間のアクセス、トラフィック、セキュリティを制御するポリシーを適用するために、Azure API Management も使用しています。

インフラストラクチャを最新化

開発者は、インフラストラクチャのプロビジョニングや管理ではなく、アプリケーションの開発に集中する必要があります。API Management では、サーバーレス バックエンド サービスのために一元化されたフル マネージドのエントリ ポイントが供給されるサーバーレス API ゲートウェイが提供されます。これにより、開発者は API の公開、管理、セキュリティ保護、分析を世界的な規模で行うことができます。サーバーレス関数と API ゲートウェイを併用することで、組織はリソースをより適切に最適化し、イノベーションに集中し続けることができます。たとえば、サーバーレス関数が提供する API を通じて、レストランが食材を切らした場合に店舗のメニューを調整できます。

Chipotle では、統一された Web エクスペリエンスを一から作成するために Azure を頼りにし、インフラストラクチャの重要な部分で Azure API Management と Azure Functions の両方を活用しています。バックエンド サービス (注文、配送、アカウント管理と設定など) への呼び出しは Azure API Management に到達します。これにより、さまざまなバックエンド サービスとシステムに対する単一の簡単に管理できるエンドポイントと API ゲートウェイが Chipotle に提供されます。このような機能により、Chipotle の他の開発チームは、Smith 氏のフロントエンド アプリに対して透過的な形で、ゲートウェイの背後にあるバックエンド サービスの最新化に取り組むことができます。

"API Management は API の相互作用との整合性を確保するのに適しているため、単一の URL の背後で、何がどこに存在するかを常に把握することができます" と Smith 氏は述べています。"API ゲートウェイの背後で多くの変更が行われていますが、それについて心配する必要はありません。" - Chipotle、主任ソフトウェア開発者、Mike Smith 氏

API によるイノベーション

サーバーレス API は、収益の増加、コストの削減、またはビジネスのアジリティの向上のために使用されます。その結果として、テクノロジがビジネスの成長の重要な原動力になります。企業は人工知能を活用して API 呼び出しを分析して、パターンを認識したり、将来的な購入行動を予測したりできるので、販売サイクル全体を最適化できます。

規制上の義務の知識マイニング ソリューション用にスケーラブルな API を作成するために、PwC の AI では Azure Functions に頼っています。また、テキスト内の規制上の義務を簡単に識別できる AI モデルに長年の経験が組み込まれたソリューションによって見つかった予測をすばやく表示させるために、Azure Cognitive Search が使用されています。

"ROI POC の開始が間近になるにつれて、Azure Functions が 2 から 4 週間の作業を省く、付加価値であることがわかります。予測要求の処理を私の代わりに行ってくれます。また、モデルを PwC の他のチームやクライアントに拡張するためにも使用しています。このようにして、比較的簡単に作業を運用化できます。" - PwC、PwC 機械学習科学者兼マネージャー、Todd Morrill 氏

Quest Software、Chipotle、PwC は、API が確実に監視、管理、保護される API アーキテクチャを作成するために Azure Functions や Azure API Management などのツールを活用している Microsoft Azure のお客様のほんの一部にすぎません。API の手法を再考してサーバーレス テクノロジを使用すると、規模、コスト、または運用リソースによって制限されない新機能が組織内で利用できるようになります。

すぐに使い始める

一般的なサーバーレス API アーキテクチャのパターンについては、Azure アーキテクチャ センターでご確認ください。ここでは、他の Azure サービスに加えて、Azure Functions と Azure API Management を活用する一般的なパターンの概要とリファレンス アーキテクチャが提供されます。

サーバーレス API を利用する Web アプリケーションのリファレンス アーキテクチャ