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クラウド コストの管理は困難な作業になりがちですが、組織の内部でチャージバックを行うためにコストを分割する必要がある場合にはなおさらです。たとえば、いくつもの部署に分かれている場合や、個別の顧客向けソリューションに対する外部請求を容易にする必要がある場合などが考えられます。さらに、コストを削減するために共有サービスを採用していて、それらの共有サービスを部署や顧客ごとに明確に分ける手段がない場合には、その作業がより一層難しくなります。そこで出番となるのが、エンタープライズ契約 (EA) アカウントおよび Microsoft 顧客契約 (MCA) アカウント向けの Azure Cost Management と Billing のコスト配賦機能 (プレビュー) です。

組織にとってコストの配賦が適している場合を知る

コストの配賦とは、組織全体でどのようにコストを分割し、割り当てるかということです。通常、コストの配賦を行うには、使用されている共有サービスを特定し、それらのサービスがどの部署またはプロジェクトで利用されているかを突き止めて、それぞれにコストをどのように配分するかを決定します。

以下に皆様が実際に目にする可能性のある状況をいくつか挙げます。

  • ネットワーク - 複数の仮想マシン (VM) で同じネットワーク インフラストラクチャを使用しています。現在、中央の IT チームがそれらのネットワーク コストを間接費として負担していますが、その間接費を削減して、それらのコストをネットワークを使用している部門やアプリケーションに配賦し直し、各ソリューションによって発生している全コストのアカウンタビリティを高めたいと考えています。コスト配賦機能を使用すると、コストを部門やアプリケーションに割り当て直すことができます。
  • データベースとストレージ アカウント - 時間の経過と共に、各チームが個別の (場合によっては関連する) 目的のために異なるデータベース サーバーやストレージ アカウントを作成するようになりました。コストの最適化を目指す中で、それらが 1 つのサーバーやアカウントに統合されました。現在、サーバーまたはアカウント レベルで利用状況が追跡され、請求が行われているため、アプリケーションごとに同じ属性を持っていません。コスト配賦機能によって、保存するデータに応じてコストを部門、アプリケーション、またはエンド カスタマーごとに割り当てられるようになります。
  • 一貫性のないレポート - 共有サービスのコストの管理は目新しい問題ではありません。一部の組織では、内部でソリューションを構築したり、パートナーと連携したりして、その目的を達成しています。これによりコストの割り当てはできますが、Azure portal で報告されるコストが、外部のコスト配賦ルールを考慮した内部レポート内のコストと一致しないことに対して不満を目にすることもあるでしょう。この一貫性のなさが、各チーム内での予期せぬコストや、中央の IT チームによる内部サポート コストの増大、全社的に漠然とした不満を生じさせる原因となり得ます。コスト配賦機能を使用すれば、誰もが各自責任のあるコストに対して、直接的に発生するか間接的に発生するかにかかわらず、完全な透明性を得ることができます。

これらの状況のいずれかに聞き覚えはありませんか。もしそうなら、コスト配賦機能がいかに財務業務 (FinOps) の目標をストレスなく達成するのに役立つかを見てみましょう。

コスト配賦機能によって財務レポートの作成を合理化する

コスト配賦は以下のような簡単なプロセスで開始できます。

共有コストを特定する - コスト配賦ルールを作成する上で最初のステップでは、どの共有コストを配分したいかを特定します。コスト配賦機能 (プレビュー) では、それらのコストをサブスクリプション、リソース グループ、またはタグごとに特定できます。たとえば、ネットワーク インフラストラクチャがホストされているリソース グループやサブスクリプションが考えられます。あるいは、タグ付けされた共有コストかもしれません (その場合は、該当するタグを選択できます)。

コストをどこに移すかを指定する - 次に、それらの共有コストをどこに移したいかを指定します。共有コストを特定するのと同じように、コストを移す基準 (サブスクリプションごと、リソース グループごと、またはタグごと) を選択できます。そうすると、利用状況データ内に共有コストの一部を示す追加レコードが、新しいサブスクリプション ID またはリソース グループ名で作成されます。1 つ以上のタグにコストを移すことを選択した場合、タグごとに新しい行が 1 つ表示されます。追加された新しいタグを除き、すべての属性は同じです。

配分を決定する - 最後に、コストをどのように割り当てたいかを指定します。コスト配賦機能 (プレビュー) では、以下の方法で割り当てを選択できます。

  • 均等に割り当て (10 のターゲットに 10% ずつなど)
  • 総コストに比例 (あるターゲットが全ターゲットの総コストの 25% を占める場合、共有コストの 25% が割り当てられるなど)
  • コンピューティング、ネットワーク、またはストレージのコストに比例
  • カスタム割り当て (パーセンテージで指定)

 

"コストに比例" ルールを示す画像

コスト配賦ルールが定義され、コスト データが処理されると、Azure portal のユーザーは誰でも新しいコスト配賦ルールに基づくコストを確認できるようになります。つまり、ソースのサブスクリプション、リソース グループ、またはタグにはコストが含まれず、ターゲットのサブスクリプション、リソース グループ、またはタグに、配賦ルールに基づく追加コストが表示されるようになるという意味です。コスト配賦ルールの影響を確認するには、コスト分析で [グループ化] ドロップダウンから [コストの割り当て] を選択します。

配賦 2
 
コストの配賦を行っても、Azure 請求書には影響がないことに留意してください。コストを課金アカウントから移すことや、課金アカウントに移すことはできません。コストの配賦は、あくまで課金アカウント内でコストを移動させて、組織のレポート作成やチャージバックを容易にすることを目的としたものです。支払い責任が変更されるわけではありません。

詳細情報と利用開始

ぜひ、コストの配賦に関するドキュメントで詳細を確認し、今すぐ初めてのコスト配賦ルールを作成してみてください。皆様からコスト配賦機能を使用して共有コストの配分と管理を行っておられる事例が寄せられるのを楽しみにしています。また、組織内での財務レポートの作成と処理をさらに容易にするために必要なものについて詳細をご確認ください。当社が一般提供に向けて進む上で、皆様からのフィードバックが拡張すべき機能の特定に役立ちます。

Azure Cost Management と Billing の更新も忘れずにご確認ください。マイクロソフトは常に皆様からのフィードバックに耳を傾け、改善に取り組んでいます。ぜひ今後もフィードバックをお寄せください。

最新情報、ヒントやテクニックを入手するには、Twitter アカウント @AzureCostMgmt (英語) のフォローや、YouTube チャンネル (英語) へのご登録をお願いいたします。Cost Management のフィードバック フォーラム (英語) では、アイデアの投稿や他のユーザーの意見への投票をお待ちしています。

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