Azure Kubernetes Service (AKS), Compute, Developer Tools, Events, Visual Studio Codespaces
Azure 最新情報 – Microsoft BUILD 2018 のハイライト
By Julia White Corporate Vice President, Microsoft Azure
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先日開催された Microsoft Build カンファレンスでは、それぞれのテーマを深く掘り下げた多くのセッションを通じて、開発者の皆様にいくつものイノベーションをお届けすることができました。この期間中、私は場内を回りながら、コンテナー、開発ツール、IoT、Azure Cosmos DB、AI といった話題のトピックについてさまざまな方と議論を交わしました。開発者の皆様には、新たなイノベーションが驚くべきスピードで提供されており、Microsoft Build でお伝えした内容も、あまりの情報の多さに把握しきれていないという方がいらっしゃるのではないかと思います。そこで今回の記事では、Build で話題になったいくつかの重要なテーマと、ぜひ押さえておいていただきたい重要なセッションについてご紹介させていただきます (セッションのハイライトをまとめた再生リスト がありますので、そちらもご覧ください)。
開発業務を効率化する最先端のツール
Build は開発者向けのカンファレンスです。IT 業界のあらゆるイノベーションはコーディングから始まるため、まず開発者向けツールから振り返りましょう。Build 初日の大きな出来事は、.NET Core 2.1 リリース候補版の発表でした。パフォーマンス強化と数々の新機能が実装された NET Core 2.1 は、これまでの .NET Core リリースをさらに大きく飛躍させた最新バージョンとなります。詳細については、こちらのブログ をご覧ください。Build では、以下のようなセッションを通じて、現在ご利用いただける機能を紹介しました。
- .NET Overview & Roadmap (.NET の概要とロードマップ):このセッションでは Scott Hanselman と Scott Hunter の 2 人が登壇し、.NET をあらゆる角度から紹介しました。この Build で初公開となった、.NET Core 2.1 の機能についても触れています。
新しい .NET Core 2.1 について語る Scott Hanselman と Scott Hunter
今、IT 業界で最も注目されているのが AI です。Visual Studio IntelliCode の成果を発表する際には特に熱が入っていました。この Visual Studio IntelliCode は、開発者にインテリジェントなアドバイスを提供し、コード品質の向上とコーディング作業の効率化を支援する機能です。また、Live Share のパブリック プレビュー版も公開されました。Live Share は、複数の開発者が共同でコーディングや問題解決を進められるようにする Visual Studio と Visual Studio Code の拡張機能で、Windows、Mac、Linux でご利用いただけます。Scott Guthrie のセッションでは、GitHub SVP テクノロジの Jason Warner 氏を迎え、オープンソース化に対する Microsoft の取り組みと、Microsoft のチームによるこれまでの実績をお伝えしました。 このセッションでは、モバイル アプリ開発に GitHub を利用している開発者が、Visual Studio App Center を使うことでわずか数クリックで継続的インテグレーションのプロセスを構築、自動化できるようになったことも発表されました。詳しくはこちらの記事を参照してください。
他にも以下のようなセッションがあります。併せてご覧ください。
- Get in the Zone: Visual Studio 2017 Productivity Enhancements (効率化は新たなレベルに: 生産性に関する Visual Studio 2017 の機能強化): .NET 開発者のスキルアップとスピードアップを支援する Visual Studio 2017 の機能を紹介しています。
- Building full-stack Node.js web apps with Visual Studio Code (Visual Studio Code でフルスタックの Node.js Web アプリを開発): オープンソースのクロス プラットフォーム エディターである Visual Studio Code と Node.js を最大限に活用するための方法をご覧いただけます。
コンテナー + サーバーレス
クラウドとエッジの両方にまたがるアプリケーションの拡張性は、その性質上、コンテナーとサーバーレスのイベント駆動型のアプローチを使って実現されます。業界として、Kubernetes を中心にコンテナー オーケストレーターに大きな注目が集まっていることもあり、Build の Azure Kubernetes サービス (AKS) に関するセッションは大きな盛り上がりを見せました。Microsoft のコンテナー PM リードを務める Gabe Monroy は、自身のブログ記事「Kubernetes on Azure: Industry’s best end-to-end Kubernetes experience (Kubernetes on Azure: 業界最高レベルのエンドツーエンド Kubernetes エクスペリエンスを実現)」で、Azure 上での Kubernetes の利用が 1 年間で 10 倍以上に伸びたと述べています。これまでにも新機能が数多く追加され進化を遂げてきた AKS ですが、いよいよ満を持して一般提供が開始されます。今後近いうちに行われる発表をお待ちください。以下はこれに関連する注目のセッションですので、ぜひチェックしておいてください。
- Kubernetes on Azure を使うべき理由:ビルド 2018: AKS を使って Kubernetes のデプロイ、管理、操作を簡略化する方法と、CI/CD (継続的インテグレーション/継続的デリバリ)、監視、ストレージ、ネットワークに関する Kubernetes エコシステム発のツールを紹介するセッションです。
- Iteratively Develop Microservices with Speed on Kubernetes (Kubernetes と反復型手法が加速するマイクロサービス開発): Visual Studio Code や Visual Studio といった従来の開発ツールと任意のプログラミング言語を使用して、Kubernetes で直接コードの反復作業とデバッグを実行する効率的な方法について解説しています。
コンテナーを使った既存アプリケーションのモダナイゼーションを検討している方は、Azure コンピューティング コーポレート バイス プレジデント Corey Sanders による以下のセッションをご覧ください。
- App Modernization with Microsoft Azure (Microsoft Azure によるアプリのモダナイゼーション): コンテナーを活用して Azure でスピーディにアプリケーションのモダナイゼーションを実施する方法、サーバーレスを使って機能を追加する方法、アプリのライフサイクル全体に DevOps を組み込む方法を解説しています。
「Hey, you, get on my Cloud (僕のクラウドに乗らないか)」 - Corey Sanders
モノのインターネット (IoT)
Microsoft は最近、モノのインターネット (IoT) 分野に 50 億ドルを投資することを発表しました。この新たなイノベーションに対する多額の投資計画を反映するように、Build でも数多くの IoT テクノロジが発表されました。大きな発表の中でも特に注目なのは、Azure IoT Edge ランタイムのオープンソース化です。これにより、お客様へのコードの透明性と制御性が増すだけでなく、世界最大手のドローン開発/製造企業の DJI との連携が強化され、より多くのデバイスで Edge を利用できるようになります。Satya Nadella の基調講演「Vision Keynote」では、Azure IoT パートナー ディレクターの Sam George が代表的な IoT デバイスを紹介し、壇上でドローンを飛ばす楽しいデモを行いました。
Build の基調講演で行われた Sam George によるドローンのデモ
この発表内容については、George のブログ記事「Microsoft Azure IoT Edge – Extending cloud intelligence to edge devices (Microsoft Azure IoT Edge – クラウドのインテリジェンスをエッジ デバイスに拡張)」にまとめられていますので、ぜひご一読ください。
IoT ソリューション開発の可能性についてさらに追求したい方は、Azure IoT School の利用をご検討ください。リモート監視、予測メンテナンス、接続済みファクトリなど、一般的な IoT シナリオに対応する Solution Accelerator について効率的に学習することができます。Build では他にも IoT に関する以下のようなセッションが行われました。
- Microsoft IoT Overview, Vision and Roadmap (Microsoft の IoT の概要、ビジョン、ロードマップ):ビルド 2018: マイクロソフトが幅広く提供している IoT 関連のサービスとソリューションの概要をわかりやすく紹介しています。
- Azure IoT Platform services - The modern IoT developer toolbox (Azure IoT Platform のサービス - 最先端の IoT 開発者を支える強力なツールボックス): 最先端の IoT 開発者向けに提供されているさまざまな Azure IoT 機能を紹介するデモ形式のセッションです。
- Secure and power the intelligent edge with Azure Sphere (Azure Sphere によるインテリジェント エッジの保護と強化): Azure Sphere を構成するハードウェア、OS、クラウド サービスについて、Visual Studio を使って Azure Sphere アプリケーションを開発する方法、各種デバイスと Azure サービスを接続する方法について解説しています。
データ + AI
クラウド、データ、AI の融合は、私たちが未だかつて経験したことのない変化を生み出し、そのスピードは加速し続けています。現在のイノベーションにおいて、データを活用し画期的なインサイトに変える機能は、なくてはならないものです。今やデータを利用しないアプリやエクスペリエンスを開発することなど考えられず、それどころか最新のアプリがデータベースに求める拡張性、パフォーマンス、柔軟性の要件は高まるばかりです。こうした状況を受けて開発されたのが、マルチモデルのグローバル分散データベース サービスである Azure Cosmos DB です。Cosmos DB の発表の舞台に Build 2018 が選ばれたことは、1 年にわたり開発に携わってきたチームにとって大きな喜びでした。Build では Cosmos DB 関連の発表が数多く行われました。マルチマスターによる書き込み機能のプレビューもその 1 つです。複数の書き込み操作を全世界で同時実行し、それぞれの場所の操作を同時に同期できるマルチマスター書き込み機能は、画期的なユースケースを今後数多く実現させるはずです。Azure Cosmos DB 関連のさらに詳しい情報については、Azure Cosmos DB グループ プログラム マネージャー Rimma Nehme のブログ記事 を参照してください。
最先端のアプリが持つ要件は AI に対しても高く、視覚データや音声データを処理し、予測と推論を行うことができる新しい機械学習と AI の機能が求められています。事前構成済みの AI アプローチを利用したい効率重視のユーザー、カスタム AI モデルを構築したいデータ サイエンティスト、そしてその両方に対応できるフルレンジの AI サービスを提供しているのは Azure だけです。
データと AI をテーマとしたセッションも数多く行われました。特に注目していただきたいのが以下のセッションです。
- Technical overview of Azure Cosmos DB (Azure Cosmos DB の技術概要): Azure Cosmos DB を利用すれば、グローバル展開されるアプリケーションをどれほど簡単に構築できるか紹介しています。グローバルな分散、一貫性保持、サーバー側でのパーティション分割に関する設計面での重要事項についても詳しく触れています。使い慣れたツールと API を使用し、アプリのニーズに合わせてデータをモデル化する方法も学習できます。
- How to migrate your existing MongoDB and Cassandra Apps to Azure CosmosDB (既存の MongoDB アプリや Cassandra アプリを Azure Cosmos DB に移行する方法): MongoDB および Cassandra のアプリケーションを Azure Cosmos DB に移行すれば、ターンキー型のグローバルな分散や保証付きの低レイテンシといったメリットをクラウド全体ですぐに実現できます。このセッションでは、MongoDB API と Cassandra API を使って既存の NoSQL アプリケーションを簡単に Azure Cosmos DB に移行する方法を解説しています。
- Leveraging Azure Databricks to minimize time to insight by combining Batch and Stream processing pipelines (Azure Databricks を活用し、バッチ処理パイプラインとストリーム処理パイプラインを組み合わせ、インサイトを最短時間で獲得): リアルタイム データと膨大なバッチ データセットをマージするシンプルなパイプラインの作成方法について解説しています。データ駆動型の自動化された意思決定プロセスをインテリジェント アプリケーションに組み込み、処理中のデータとのインテリジェントな直接統合を構築する方法がわかります。
- Demystifying Machine and Deep Learning for Developers (機械学習とディープ ラーニングに関する開発者向け基本講座): パーソナライズとエンゲージメントによってさらに魅力的なアプリケーションを生み出そうと、ますます多くの開発者が機械学習を取り入れています。このセッションでは、機械学習とディープ ラーニングの基礎を紹介し、開発中のアプリケーション用の画像分類機能を構築する方法を説明しています。
Build についてお伝えしたい情報はまだまだたくさんあります。ここでは触れませんでしたが、インテリジェントなハイブリッド アプリケーションの開発を支援する Azure Stack の新機能についても、開発者必見のセッションがたくさん行われました。Mark Russinovich による「Inside Azure Datacenter Architecture (Azure データセンターのしくみ)」は、今回の Build で特に再生数の多いセッションになりそうです。Azure CTO である Mark 自身がデータセンター設計、FPGA を活用したネットワークと機械学習の高速化といった Azure データセンターのアーキテクチャとイノベーションについて解説しています。この他にも Build で行われたセッションはすべて Microsoft Build Live で公開されていますので、ぜひご覧ください。
Build のためにわざわざシアトルまでお越しいただき誠にありがとうございました。皆様をお迎えできたことを大変嬉しく思っています。次は、フロリダ州オーランドで 9 月 24 から 28 日に開催される今年最大のイベント Microsoft Ignite です。ぜひ参加登録をお願いいたします。イベントは 5 日間で、トレーニング、製品/サービスに関する徹底解説、最新テクノロジのハンズオン デモ、交流イベントなど、盛りだくさんの内容で皆様をお迎えします。またお会いしましょう!