2019 年に Azure Spring Cloud with VMware を発表したとき、Microsoft は Spring Boot アプリケーションを大規模に実行する際に開発者、IT オペレーター、DevOps チームが直面する共通の課題を解決することを目指しました。それ以来、Bosch、Digital Realty、Kroger、Liantis、Morgan Stanley、National Life、Raley’s、Swiss Re など多くのお客様と連携し、サービスの導入を支援する機会に恵まれました。Azure Spring Cloud のフル マネージド インフラストラクチャを使用することで、アプリに集中できる一方で、動的スケーリング、セキュリティ パッチの適用、監視にすぐに使えるインストルメンテーションなどを管理するサービスが提供されるため、お客様から高い評価をいただいています。

多くの組織が何千もの Spring Boot アプリケーションをオンプレミスで実行しており、Spring のモダン化プロジェクトを加速させるために高度な機能を必要としています。顧客エンゲージメントからの学びに基づいて、Microsoft は新しい Azure Spring Cloud レベルである Enterprise を構築し、SpringOne 2021 で発表しました。Azure Spring Cloud Enterprise には、商用向けにサポートされている Spring ランタイム コンポーネントが含まれており、企業のお客様がより早く出荷し、Spring の潜在能力を最大限に引き出すことができます。Microsoft は、学びを共有し、Enterprise レベルの形成を支援してくださった多くのお客様とパートナーに感謝しています。また、Azure Spring Cloud Enterprise のプレビューをすべてのお客様にご利用いただけるようになったことをお知らせいたします。

Azure Spring Cloud Enterprise は、VMware との継続的なコラボレーションにより、Microsoft のクラウドプラットフォームに関する専門知識と VMware の革新的な Tanzu ポートフォリオを融合させたものです。また Microsoft は、これがどの Azure サービス、どのクラウド、どのオンプレミス システムにも本質的に移植可能なポリグロット アプリケーションをデプロイできるアプリケーション プラットフォームになるよう取り組んでいます。Azure Spring Cloud Enterprise を使用すると、Spring アプリの開発とデプロイにおいて、生産性とを向上させ、Spring エキスパートとつながることができます。Azure Spring Cloud Enterprise は Standard レベルで利用可能なすべての機能の上に構築されており、より広範な Azure エコシステムを活用して お使いの Spring Boot アプリケーションを強化することができます。

図 1: Azure Spring Cloud レベルの選択肢が企業に提供されるようになりました

より迅速に出荷

Spring およびポリグロット アプリケーションのデプロイと管理

Azure Spring Cloud Enterprise のフル マネージド VMware Tanzu Build Service は、オープンソースの Cloud Native Buildpacks と商用 VMware Tanzu Buildpacks を使用して、企業スケールでのコンテナー作成、管理、ガバナンスを自動化します。Tanzu Build Service は、アプリ構築のためのより高いレベルの抽象化を提供し、開発者の運用負担を軽減し、大規模なアプリケーションを管理する企業の IT 運用者をサポートする制御のバランスを提供します。お客様はどの Buildpack を適用するかを設定し、Azure Spring Cloud 上で Spring アプリケーションと一緒に動作するポリグロット アプリケーションを構築することができます。

Tanzu Buildpacks を使用すると、Spring、Java、NodeJS、Python、Go、.NET Core アプリケーションの構築や、Application Insights、New Relic、Dynatrace、AppDynamics、Elastic などのアプリケーション パフォーマンス監視エージェントの設定を簡単に行うことができます。

クライアント要求をアプリケーションに簡単にルーティング

フル マネージドの Spring Cloud Gateway for VMware Tanzu と VMware Tanzu 用 API ポータルを使用すると、アプリケーションが公開する要求ルートや API を簡単に管理および発見することができます。

Spring Cloud Gateway for Tanzu は、さまざまなクライアント要求を Azure Spring Cloud、Azure、オンプレミスのアプリケーションに効率的にルーティングし、アプリケーションのセキュリティ、ルーティング、レート制限、キャッシング、監視、回復力、アプリケーションの非表示など、ゲートウェイの内側にあるアプリケーションの機能を横断した考慮事項に対応しています。利用できる構成は、次のとおりです。

• 追加のコードや依存関係なしに、お好みの ID プロバイダーとシングルサインオンを統合できます。
• アプリケーションの再デプロイを必要としない、アプリケーションへの動的なルーティング規則。
• バックエンド サービスを使用しない要求のスロットリング。

VMware Tanzu 用 API ポータルは、API 利用者に Spring Cloud Gateway for Tanzu が公開する API ルートの詳細を検索および表示する機能を提供し、API 要求をテストすることができます。

図 2:フル マネージドの Spring Cloud Gateway for Tanzu は、さまざまなクライアント要求を Azure Spring Cloud、Azure、オンプレミス システム内のアプリケーションにルーティングします。

図 3: VMware Tanzu 用 API ポータルには、Tanzu Spring Cloud Gateway およびその他の OpenAPI 準拠ソースからアクセスできる API が表示されます

柔軟で設定が可能な VMware Tanzu コンポーネント

Azure Spring Cloud Enterprise では、お客様は Azure 上でフル マネージド VMware Tanzu コンポーネントを使用することができます。お客様は Enterprise インスタンス作成時に、ご自身の環境で使用する VMware Tanzu コンポーネントを選択することができます。Tanzu Build Service、Spring Cloud Gateway for Tanzu、VMware Tanzu 用 API ポータル、Application Configuration Service for VMware Tanzu、VMware Tanzu Service Registry は、プレビュー期間中は利用可能です。

VMware Tanzu のコンポーネントは、以下のような価値をお客様に提供します。

• お客様は、複雑な運用を Microsoft と VMware に任せながら、エンドツーエンドで監視可能なエンタープライズレベルのアプリケーション ポートフォリオを数個のアプリケーションから数千のアプリケーションにまで拡大することができます。
• Azure Spring Cloud とその他のコンピューティング環境をまたいで Spring アプリケーションをリフトアンドシフトできます。
• ビルドの依存関係を制御し、ポリグロット アプリケーションをデプロイし、必要に応じて Spring Cloud のミドルウェア コンポーネントをデプロイすることができます。

Microsoft と VMware は、Application Live View for VMware Tanzu、Application Accelerator for VMware Tanzu、Spring Cloud Data Flow for VMware Tanzu¹ などの Tanzu コンポーネントを含め、今後もエンタープライズレベルの機能を追加していきます。

長期サポート (LTS) で Spring の可能性を最大限に引き出す

Azure Spring Cloud Enterprise には、アプリケーションの開発とデプロイのための VMware Spring Runtime Support が含まれています。このサポートにより、お客様は Spring の専門家とつながり、Spring エコシステムの可能性を最大限に引き出して、アプリケーションを迅速に開発およびデプロイすることができます。

図 4: Spring プロジェクトの世界レベルのサポートを通じて、Spring フレームワークでより多くのことを行うことができます

通常、オープンソースの Spring プロジェクトのマイナー リリースは、初回リリースの日から最小で 12 か月間サポートされます。Azure Spring Cloud Enterprise では、Spring プロジェクトのマイナー リリースは、VMware Spring Runtime Support の資格を通じて、初回リリース日から最低 24 か月間² の商用サポートを受けることができます。この拡張サポートにより、オープンソースの提供終了日以降も、お使いの Spring アプリケーション ポートフォリオのセキュリティと安定性が保証されます。

図 5: Spring Boot の商用サポート タイムライン

Azure と Java のエコシステムに完全統合

Enterprise レベルを含む Azure Spring Cloud は、Azure 上のフル マネージド環境で稼働します。Azure と Java エコシステムのすべての利点を得ることができ、また使い慣れた直感的な操作で利用できます。

一般的な開発プラクティス	Azure のエコシステム
プロビジョニング ツールを使用したサービス インスタンスの作成	Azure Portal、CLI、ARM テンプレート、Bicep、Terraform
環境とアプリケーションのデプロイを自動化	GitHub、Azure DevOps、GitLab、Jenkins
任意のツールとプラットフォームを使用したエンドツーエンドの監視	Application Insights、Azure Log Analytics、Dynatrace、Elastic、New Relic、Dynatrace、AppDynamics
Spring アプリケーションを接続してクラウド サービスとやり取りする	データ、メッセージング、イベント、キャッシュ、ストレージ、ディレクトリ用の Azure サービスを使用した Spring 統合
アプリのシークレットと証明書を安全に読み込む	Azure Key Vault
使い慣れた開発ツールの使用	IntelliJ、VS Code、Eclipse、Spring Tool Suite、Maven、Gradle

たとえば、Enterprise サービス インスタンスを作成してアプリケーションをデプロイした後、Application Insights やその他のお好みのアプリケーション パフォーマンス管理ツールで簡単に監視することができます。

図 6: Application Insights アプリケーション マップを通じて表示されるアプリケーション トランザクション

今すぐご利用ください

Azure Spring Cloud Enterprise を使用すると、生産性をさらに向上させ、Spring の専門家を活用してプロジェクトをさらに成功させることができます。ぜひ Enterprise をお試しになり、フィードバックを共有してください。今すぐ開始しましょう。

また、VMware による Azure Spring Cloud Enterprise プレビューの発表についての詳細もご覧ください。

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¹Azure Spring Cloud Enterprise のロードマップは確定しておらず、変更される可能性があります。

² Spring プロジェクトの現在のサポート スケジュールをご覧いただけます。