Azure が SaaS 基盤として最適であるために

2016年5月11日 に投稿済み

Senior Director Product Marketing, Data Platform

SaaS 開発者向けの包括的なプラットフォーム

今日、SaaS (サービスとしてのソフトウェア) アプリケーションの開発に参入するソフトウェア開発者の数は、ますます増えています。SaaS アプリケーションは、エンド ユーザー ベースの拡大に欠かせないクラウド アプリケーションです。SaaS アプリを効率よく低コストで開発するには、カスタマイズ可能なアプリケーション プラットフォームやオーバーヘッドのないデータ分離、データとコンテンツのグローバルなユーザー配信、ID とアクセスの統合、さらに、ビジネス インテリジェンスを簡単に組み込むためのオプションなど、さまざまな要素が必要になります。Azure では、基盤となるこれらの要素を提供するために、次のような独自のフル マネージド PaaS (サービスとしてのプラットフォーム) オファリングのセットを提供しています。Azure App Service、Azure Service Fabric、Azure SQL Database、Azure CDN、Azure Active Directory、および Power BI Embedded がそれにあたります。これは、包括的で統合されたフル マネージド サービス スイートを提供する唯一のアプリケーション開発プラットフォームであり、Gartner 社による世界の "サービスとしてのエンタープライズ アプリケーション プラットフォーム" のマジック クアドラントにおいて 3 年連続でリーダーとして評価されています。

そして今回、この SaaS 開発者向けエクスペリエンスをさらに拡充させるための投資として、SQL Database Elastic Pool の提供開始と、Azure CDN に関する Akamai とのパートナーシップを発表いたしました。これらの投資は、Microsoft Build 2016 で共有された動向を後押しするものであり、これらのサービスと共に、Microsoft の SaaS のお客様がソリューションを変革する際に開発プラットフォームとして Azure を活用するさらに大きな理由となります。

Azure SQL Database Elastic Pool

SQL Database Elastic Pool が登場する前、開発者はデータベースの分離と DevOps の効率性のどちらを優先させるのかという二者択一を迫られていました。インテリジェントな機能がサービスに組み込まれていることに加え、SQL Database エラスティック プールが一般提供されたことで、開発者はこれまでどおりデータの分離を維持しながら、数個から数千個のデータベースを 1 つのものとして管理できるようになります。Elastic Pool はマルチテナント環境に最適なソリューションです。各テナントにデータベースが 1 つ割り当てられ、プール内の各データベースはコンピューティング リソースを必要に応じて利用できます。アプリケーションのコードを複雑にカスタマイズする必要はなく、過剰にプロビジョニングしたり、データを分離するために個々のデータベースを管理する必要もありません。エラスティック プールには、データベース リソースの自動スケーリング、分析情報と推奨事項によるデータベース環境のインテリジェントな管理、およびさまざまなニーズに対応した幅広いパフォーマンスと価格が含まれます。

エラスティック プール

昨年のプレビュー開始以来、多くの SaaS 開発者がアプリケーションにプールを導入し、Elastic Pool への移行による効果を実感しています。SQL Database エラスティック プールのメリットを既に享受しているお客様の 1 つが GEP です。GEP はクラウドベースの調達およびサプライ チェーン ソリューションである SMART by GEP のテクノロジ プロバイダーです。

GEP のテクノロジ担当バイス プレジデント Dhananjay Nagalkar 氏は次のように述べています。
「Azure の PaaS テクノロジのおかげで、インフラストラクチャを気にすることなく、主力製品の開発に専念できるようになりました。当社では自社アプリケーションのすべてを設計し直し、Azure の PaaS サービスで実行できるようにしました。これにより今では開発コードを迅速に市場投入し、世界中のお客様にすばやく提供できるようになりました。また、800 個以上のデータベースを Elastic Pool に移行し、Standard レベルと Premium レベルを組み合わせたプールに各データベースをまとめたことで、お客様に階層的に設定したパフォーマンスと価格を提示できるようになりました。移行後は、カリフォルニア州サンノゼとニュージャージー州ニューアークにあったデータセンターを廃止しました。これで GEP はデータセンターを持たない企業だと胸を張って言うことができます。SQL Database により、長期的に非常に多額のコストを節約できます。2016 年度だけでも、エラスティック プールの採用によって、25 万ドルを削減できる予定です。」

Akamai が提供する Azure Content Delivery Network

Azure CDN from Akamai の一般提供によって、Azure CDN が Akamai と Verizon のサービスを使用したマルチ CDN オファリングとなったため、お客様はニーズに合った適切な CDN を選択できます。これにより、Azure でのサポートとサービスが簡素化されます。CDN を利用することで、ソリューションのスピード、パフォーマンス、信頼性を高めることが可能になります。これは SaaS アプリケーションの基本的な要件です。今日、ビジネスやコンテンツ配信への投資は大規模に行われており、ビジネス、一般消費、エンターテイメントなどオンラインを利用する目的が何であれ、すべてのユーザーが一様に求めるのは、どんなデバイスでも高速なパフォーマンスが実現され、メディア コンテンツを豊富に利用できるようになることです。事実、Web サイトでパフォーマンス上のトラブルを経験したユーザーの 79% が、再びそのサイトを利用することはないと答えています (KISSmetrics による分析)。Akamai は、メディア、ソフトウェア、クラウド セキュリティ ソリューション向けの CDN サービスを提供するリーディング企業であり、今回 Akamai 提供の Azure CDN の一般提供を迎えたことで、お客様は柔軟性とグローバルな配信エリアを手に入れ、大規模なメディア ワークロードを効率的かつ安全に管理できるようになりました。

昨年秋にプレビューを開始して以来、マイクロソフトは、放送、制作、マスメディア業界を代表する LG、TVN、MEKmedia、TVB など多くの大手企業と連携してきました。スマート テレビ アプリを手掛ける大手テクノロジ パートナー MEKmedia は、迅速かつ安定した、安全性と信頼性の高い配信機能を活用しています。MEKmedia の CEO、Matthias Moritz 氏は次のよう述べています。

「Azure Media Services と Akamai から提供される Azure CDN は、スケーラブルで安全なコスト効率の高いソリューションであり、当社のメディア ワークフローに最適です。このソリューションのおかげで、当社はお客様に優れたエクスペリエンスを提供することができています」。

Azure サービスで SaaS アプリを刷新

ここでは SQL Database によるデータ分離と CDN によるデータ/コンテンツ配信について述べてきましたが、このほかにも次のような SaaS アプリケーション向けのその他の Azure PaaS サービスを活用することで、さらなるメリットを実現することが可能です。

Azure App Service と Azure Service Fabric

App Service を SQL Database エラスティック プールと組み合わせることによって、エンド ツー エンドのフル マネージド アプリ エクスペリエンスを実現できます。これは、SaaS 開発者が負荷を考慮し、システムに余裕を持たせるうえで欠かせないメリットです。App Service は、共通の開発、管理、価格モデルを持つエンタープライズ対応アプリの構築に必要なあらゆるツールを提供する他にはない包括的なソリューションです。豊富に提供されるアプリ テンプレートや API サービスの中から必要なものを自由に選択できるほか、Web およびモバイル バックエンド サービス、SaaS やエンタープライズ システムへのターンキー接続、ワークフローベースのビジネス プロセス作成などのエンタープライズ機能の統合セットを利用できます。Azure App Service では、開発者は異なるデータ ソースどうしの連携、インフラストラクチャ管理への対処、運用の手間といった繰り返し発生する作業に気をとられることなく、ビジネス価値を生み出すという本来の目的に専念できます。この統合型アプローチにより、セキュリティ、信頼性、拡張性に関する課題を解消し、サービスのメリットを存分に活用することが可能です。

高度にスケーラブルなマルチテナント アプリケーションを新規に構築しようとお考えのお客様にとって、Service Fabric は完成された、豊富な機能を備えたマイクロサービス アプリケーション プラットフォームです。ライフサイクル管理、ステートレス サービス、ステートフル サービスを標準サポートし、大規模な環境に対応できるパフォーマンス、24 時間 365 日の可用性、優れたコスト効率といった特長を備えています。

マイクロソフト自身も 5 年以上にわたって Service Fabric を自社サービスの運用に活用しており、SQL Database、DocumentDB、Intune、Cortana、Skype for Business をはじめとする PaaS および SaaS サービスを拡張してきました。中でも最大の用途は、何百というサーバーの何十万というステートフルおよびステートレスなマイクロサービスの管理です。現在これと同じテクノロジをそのまま提供しているのが、Azure の「サービスとしての Service Fabric」です。

Azure Active Directory

Azure Active Directory は、ディレクトリ サービス、高度な ID 管理、開発者向けのリッチな標準ベース プラットフォーム、アプリケーション アクセス管理を組み合わせることで、シームレスなフェデレーション ID とアクセスを必要とする SaaS アプリケーションに、ID およびアクセス管理機能を提供します。また、Azure で開発されたあらゆる SaaS アプリへのシングル サインオンが可能になります。Azure Active Directory は世界中の組織のおよそ 950 万個のディレクトリをホストしており、6 億のユーザー アカウントで日々発生する認証は 13 億件に上ります。

Power BI Embedded

最後に、SaaS アプリケーションのエクスペリエンスを変革しようとしている開発者向けに、Microsoft では最近、Power BI Embedded を導入しました。Power BI Embedded を利用すると、アプリケーション開発者は完全にインタラクティブな充実したレポートをエンドユーザー向けアプリに埋め込むことができます。コントロールをゼロから構築したり、余計な時間やコストがかかる心配はありません。また、エンドユーザーはアプリ内でコンテキストに沿ってシームレスに分析を行うことができます。  アプリケーション開発者は、数ある最新のデータ可視化機能の中から必要なものを選んでそのまま使用することも、アプリケーションの機能的なニーズやブランドのニーズに合わせて機能をカスタマイズしてから使用することもできます。Power BI Embedded はデスクトップやモバイルをはじめとするあらゆるデバイスに一貫したデータ可視化エクスペリエンスを提供します。

営業支援プラットフォームを提供する SaaS ベンダー Highspot は、Power BI Embedded を早期に導入した企業の 1 つです。

Highspot の CEO を務める Robert Wahbe 氏は次のように述べています。
「マイクロソフトの Power BI Embedded を使用した結果、当社の分析機能を大幅に強化することができました。既存の Highspot 営業支援プラットフォームにインタラクティブな Power BI レポートを組み込むのも簡単でした。Power BI Embedded のレポートにはそのまま使用できる視覚効果が豊富に揃い、レポートは Highspot の組み込みレポートと並べて配置されます。このため、営業チームやマーケティング チームは営業支援の効果を独自の視点からまとめて確認することができるのです」。

まとめ

マイクロソフトは、Azure SQL Database Elastic Pool と Akamai 提供の CDN の一般提供を開始できることをたいへん嬉しく思います。これにより Azure のサービス ポートフォリオにさらなる価値と選択肢が追加され、開発者の皆様にアプリケーション開発手法を刷新する新たなきっかけをご提供できたのではないかと思います。Azure PaaS サービスを活用することで、SaaS 開発者は従来のアプローチで強いられていた負担を解消し、ビジネス価値を引き出すことに専念できるようになります。ここでご紹介してきたサービスを融合することで、SaaS 開発者の皆様は Azure を活用してソリューションをより積極的に変革していただけるようになるでしょう。

SaaS 向けに最適化された Azure サービスの詳細については、下記のリンクをご覧ください。