このたび、NVv4 の仮想マシンの一般提供が米国中南部、米国東部、米国西部、およびヨーロッパのリージョンで開始されたことをお知らせします。また今後数か月で、リージョンがさらに追加される予定です。NVv4 により、Azure は業界標準の SR-IOV テクノロジを基盤とした GPU パーティショニングを提供する、初のパブリック クラウドとなります。
NVv4 シリーズの VM は、AMD の Radeon Instinct MI25 (英語) GPU を搭載し、最大 3.3 GHz のクロック周波数、112 GB の RAM、480 MB の L3 キャッシュを備えた同時マルチスレッディング (SMT) 対応の AMD EPYC™ (英語) 7002 シリーズ vCPU を最大 32 基サポートしています。
現在は、従量課金制価格モデルによる Windows VM の展開が利用可能となっています。NVv4 VM 向けの 1 年間および 3 年間の予約インスタンスとスポット料金は、4 月 1 日より開始される予定です。Linux のサポートは間もなく開始されます。
最新 GPU を搭載したクラウド上の手頃な仮想デスクトップ
企業は、高度なモビリティを発揮する従業員へ仮想デスクトップや仮想ワークステーションをセキュアに提供する手段として、クラウドに目を向けていますが、それと同時に、ユーザー エクスペリエンスへの期待に応えながらコストとパフォーマンスを管理するという、大きな課題にも直面しています。これまで、パブリック クラウドは 1 つまたは複数の GPU を備えた仮想マシンを提供してきました。こうしたマシンは、GPU の最大限の能力とリソースが要求される GPU 集約型ワークロードに対しては最適でした。しかし、一般的なナレッジ ワーカーのプロファイルにまで GPU 全体を提供するのは過剰である場合もあります。そのようなお客様には、Windows Virtual Desktop が提供しているような、マルチセッションの仮想デスクトップが適しているかもしれません。こうした環境では、同時セッションが GPU を動的に共有できるようになっています。しかし、VDI の利用者様の中には、性能や分離性を理由として、ユーザーごとの専用の仮想マシン (VM) を必要とされている方もいらっしゃいます。そうしたタイプのワークロードに対して、お客様は要件に合った適切な GPU サイズを選択できる、スケール ダウン オプションを求めています。
マイクロソフトのお客様は、生産性アプリを実行するオフィス ワーカーから、CAD、ゲーム、シミュレーションのような GPU 駆動のワークロードを実行するエンジニアリング ワークステーションまで、各ユーザーに専用の GPU リソースを提供し、適切なサイジングを行える、コスト効果の高い VM オプションを必要とされていました。
「Azure 上の新しい AMD 搭載 Workspot クラウド デスクトップを利用して、さまざまなワークロードに向けて完璧にサイジングされた各種のクラウド ワークステーションを入手できるようになりました。AMD GPU の一部を利用するエントリ レベルの新しいクラウド ワークステーションは、マイクロソフトの生産性ツール Office 365 や Adobe のデザイン ツール (Photoshop、Illustrator、InDesign) を実行する当社のユーザーにぴったりだと分かりました。この価格帯でこのレベルのパフォーマンスを提供するサービスが、大いに必要とされていました。こうしたバランスのとれたサービスのおかげで、当社は Azure 上の AMD 搭載 Workspot クラウド デスクトップに一層多くのユーザーを移行させることができます。」Andy Knauf 氏、Mead & Hunt、CIO
VDI ユーザーのプロファイルに合わせて GPU 仮想マシンの適切なサイズを選択
仮想マシン シリーズ NVv4 は、クラウド仮想デスクトップ インフラストラクチャ (VDI) 市場と "サービスとしてのデスクトップ (DaaS)" 市場を特に想定して設計されています。マイクロソフトは GPU をクラウド上のあらゆるデスクトップに配分することで、GPU の処理能力を一般的なユーザーに広く提供したいと考えました。NVv4 を利用すれば、企業は自社のワークロードにとって理想的な価格と性能のバランスを取りながら、クラウド上の最新のデスクトップを提供できます。
以下の図は、各種の VM サイズが VDI のさまざまなユーザー プロファイルや要件に対してどのように適合するかを表しています。
「それぞれのエンジニアのアプリケーション要件に応じて、Azure 上の各 Workspot ワークステーションに AMD GPU の全体または一部を割り当てられます。こうしたきめ細かいコントロールからもたらされる経済的なメリットにより、Azure 上の Workspot クラウド デスクトップにより多くのユーザーを移行させることが可能となり、さらには全体の生産性が向上します。」 Eric Quinn 氏、C&S Companies、CTO
GPU のハードウェア パーティショニングによる予測可能なパフォーマンスとセキュリティ
Azure では、お客様のワークロードのセキュリティが常に最優先事項となっています。SR-IOV ベースの GPU パーティショニングは、ハードウェアに基づく強力なセキュリティ境界と、各仮想マシンの予測可能なパフォーマンスを提供します。マイクロソフトは単一の AMD Radeon Instinct MI 25 GPU を分割し、それを最大 8 台の仮想マシンに割り当てます。各仮想マシンは、自身に割り当てられた GPU リソースのみにアクセス可能となっており、セキュアなハードウェア パーティショニングによって、他の VM による未承認のアクセスは防止されています。
「Azure の NVv4 VM シリーズは ArcGIS Pro のユーザーに、際立って優れたグラフィカル ユーザー エクスペリエンスを提供してくれます。4 種類のサイズの NVv4 を提供することで、軽量の GIS 編集から 3D 操作までのワークロードに対応する柔軟性を実現しています。」Ryan Danzey 氏、パフォーマンス担当シニア プロダクト デザイナー、ESRI ArcGIS
現在ご利用中の Windows Virtual Desktop や VDI パートナーへの対応を想定した設計
VDI セグメントのお客様には、リモート プロトコルやインフラ管理に関する多くの選択肢が用意されています。マイクロソフトは NVv4 シリーズの仮想マシンのサポートを確実にするため、主要なパートナーとの緊密な協力を実施しました。
Windows Virtual Desktop は RDP を利用するネイティブ展開の WVD を使った新しい NVv4 仮想マシンのほか、マイクロソフトの承認プロバイダーである Citrix や VMware が提供するソリューションもサポートしています。
NVv4 仮想マシンは Microsoft Remote Desktop Protocol (RDP)、Teradici PCoIP、HDX 3D Pro に対応しています。グラフィックス API のサポート対象は DirectX 9 ~ 12、OpenGL 4.6、Vulkan 1.1 です。
新しい NVv4 仮想マシンについての大規模な検証が済み、お客様に向けたマシンの提供準備が整っている Azure VDI パートナーの例として、Windows Virtual Desktop、Citrix (英語)、Teradici (英語)、Workspot (英語)、および Nutanix Frame (英語) が挙げられます。
「これは、Citrix Workspace をクラウドから配信されている Citrix のお客様には朗報です。クラウドに移行されるお客様が増えている中、この NVv4 インスタンスがリリースされたことで、お客様には、グラフィック面の支援を受けた Citrix ワークロードを Azure 上でコストを最適化しながら実現するうえで、より多くの選択肢を利用していただけるようになります。」- Carisa Stringer 氏、Workspace サービス プロダクト マーケティング担当シニア ディレクター
「新しい Azure NV_v4 シリーズは、Xi Frame の利用者様の仮想デスクトップおよびアプリケーション ストリーミングのニーズに向けて、一層幅広い GPU の選択肢を提供しています。クラウド上の仮想化された GPU の実現によって、Azure は今やまったく新しいレベルの価値を提供するようになり、実現可能なユース ケースの幅が大きく広がりました。」 Carsten Puls 氏、Xi Frame 担当シニア ディレクター、Nutanix
「Azure NVv4 では、GPU リソースの共有やアクセスを必要に応じて柔軟に実行できます。当社では、この特徴が Teradici の多くのお客様にとって利益になると考えています。建設業界などの仮想デスクトップおよび仮想ワークステーションのユースケースに対応する、より柔軟でコスト効果の高い GPU オプションを実現するため、当社では大きなやりがいを持ってマイクロソフトや AMD と協力しています。」 Ziad Lammam 氏、プロダクト マネジメント担当ヴァイス プレジデント、Teradici
「Workspot の新しい AMD 搭載クラウド ワークステーションに、業界をリードする Azure のクラウド サービス群を組み合わせることで、ASTI と Workspot は、建設業界向け仮想デスクトップ インフラ分野の中堅中小企業市場のニーズに応えることが可能になっています。これらの新しい AMD 搭載システムは、エンタープライズ クラスのシステムの演算能力とグラフィック能力を提供することで、組織がリソースの管理に費やす時間を減らし、プロジェクトの遂行により多くの時間を割くことを可能にします。 これらのシステムは過剰プロビジョニングに伴うコストを回避しながら、演算能力とグラフィック性能のバランスを実現します。」Doug Dahlberg 氏、IT オペレーション担当ディレクター、Applied Software (ASTI) - Workspot および Microsoft のパートナー
次のステップ
今回ご紹介したトピックの詳細については、以下のドキュメントをご覧ください。
- NVv4 シリーズの仮想マシンのドキュメント
- 仮想マシンの料金
- AMD EPYC™ (英語) 7002 シリーズ