インテル® Optane™ を搭載した次世代の SAP HANA L インスタンスが TCO の削減を促進

2020年4月9日 に投稿済み

Principal Program Manager, Azure Dedicated Team

Microsoft Ignite 2019 において、マイクロソフトは、インテル® Optane™ 永続メモリ (PMem) をサポートする、第 2 世代インテル Xeon スケーラブル プロセッサー (旧称: Cascade Lake) を搭載した新しい SAP HANA L インスタンスの一般提供開始を発表しました。

マイクロソフトの最大手の SAP のお客様は、ビジネス機能を統合し、フットプリントを拡大し続けています。S/4 HANA ワークロードの規模が大きくなる中で、必要とされるノードの規模もますます大きくなっています。そして、高可用性/ディザスター リカバリー (HA/DR) および多層データのニーズに対応する一部のシナリオでは、運用が複雑化しています。

マイクロソフトは、インテルおよび SAP と提携し、より高いメモリ密度とインメモリ データ永続化機能を特長とするインテル Optane PMem を搭載した新しい HANA L インスタンスの開発に取り組みました。このインスタンスは第 2 世代インテル Xeon スケーラブル プロセッサーを搭載し、より高いパフォーマンスおよびより高いメモリ対プロセッサー比を特長としています。

SAP HANA ソリューション向けのこれらの新しいオファリングは、総保有コスト (TCO) の削減を支援し、HA/DR と多層データの複雑なアーキテクチャを簡素化して、再読み込み時間を 22 分の 1 に短縮します。 新しい HANA L インスタンスは、SAP HANA ワークロードの実行に欠かせない専用の機能で幅広い既存の L インスタンス オファリングを拡張します。

一般提供開始

新しい S224 HANA L インスタンスは、224 個の 4 ソケット vCPU で 3 TB から 9 TB のメモリをサポートします。新しいインスタンスは、DRAM のみ、および DRAM とインテル® Optane™ 永続メモリの組み合わせをサポートします。

インテル Optane 永続メモリの組み合わせの SKU リスト

多彩な SKU により、お客様は、DRAM のみのインスタンスと比べてメモリ容量が大きく、コストが安い、自社の SAP HANA のインメモリ ワークロードのニーズに最適なソリューションを選択できます。より高いコア対ワーキング メモリ比を特長とする S224 SKU は、OLAP 向けにパフォーマンスが最適化されていると同時に、OLTP 向けにより高いワーキング メモリ対コア比をよりお得な価格で実現できます。

インテル Optane PMem を搭載した 3 つの S224 インスタンスに関して、DRAM メモリとインテル Optane 永続メモリのサイズの比率は、それぞれ 1:1、1:2、および 1:4 です。これらのオファリングで利用できるアーキテクチャのオプションについては、次のセクションで説明します。新しい HANA L インスタンスは、HANA L インスタンスが利用可能な一部の Azure リージョンで利用できます。

S224 インスタンスを展開する主なメリット

プラットフォーム統合

SAP HANA はインメモリ データ プラットフォームです。企業が SAP HANA を利用する主なメリットとして、OLTP ワークロードと OLAP ワークロードを短い待機時間でリアルタイムに処理するハイブリッド構造が挙げられます。第 2 世代インテル Xeon スケーラブル プロセッサーは、前世代のプロセッサーと比べてパフォーマンスが 50% 高く、メモリー対プロセッサー比も高いi という特長を備えています。インテル Optane を搭載した新しいインスタンスは、ソケットあたり 3 TB 以上という、より高いメモリ密度を特長としています。

SAP HANA は、アプリ ダイレクト モードで、永続メモリにデータ構造を選択的に配置し、インテル Optane PMem を DRAM メモリの拡張機能として利用します。大半の HANA システムの大多数のデータに帰属する列ストア データがインテル Optane 永続メモリへの配置目的で有効になる一方で、ワーキング メモリの DRAM はデルタ マージ、行ストア、およびキャッシュ データの用途で利用されます。

データのニーズが増大する組織向けに実現されたより高いメモリ密度により、前世代のプロセッサーにおけるより多くの数の DRAM のみのノードと比較して、少数の S224 SKU でスケールアップ/スケールアウトする展開が可能になります (図 1 参照)。これにより、プラットフォームのフットプリントを統合し、運用の複雑さを軽減し、TCO の削減を実現できます。

より大規模なスケールアウトからより少数のスケールアップへの移行を実現する、高いメモリ密度のノードによるプラットフォーム統合

図 1: より大規模なスケールアウトからより少数のスケールアップへの移行を実現する、高いメモリ密度のノードによるプラットフォーム統合

再読み込み時間の短縮

インテル Optane PMem に保管されるデータは永続化されます。つまり、Optane PMem を搭載した新しいインスタンスを使用して SAP HANA を展開すると、システムを再起動する場合に、ディスクやより低速なストレージ層からデータを読み込む必要がなくなります。既に説明したとおり、SAP HANA は、アプリ ダイレクト モードを利用して、データベースの大半を Optane 永続メモリに格納します。たとえば、アップグレード時にシステムの再起動が行われる際、データの再読み込み時間が大幅に短縮されるため、DRAM のみのシステムよりも早く通常運用に戻ることができます。

6 TB のメモリを実行する DRAM のみのシステムと、3 TB の DRAM と 6 TB の Optane PMem が 1:2 の比率で構成される 9 TB のメモリを搭載したシステムという2 種類の S224 インスタンスを用いて行われた最近のテストでは、Optane システムのデータの再読み込み時間が DRAM のみのシステムの再読み込み時間の 22 分の 1 であることが示されました。DRAM システムのシステム再起動後の読み込み時間は約 44 分でしたが、Optane ノードの読み込み時間はわずか 2 分でした。

3 TB の HANA データセットを用いた社内テストにおいて、インテル Optane を使用した新しい SAP HANA L インスタンスで DB の再始動時間が 22 分の 1 に短縮されることが示されている

図 2: 3 TB の HANA データセットを用いた社内テストにおいて、インテル Optane を使用した新しい SAP HANA L インスタンスで DB の再始動時間が 22 分の 1 に短縮されることが示されている

再読み込み時間と復旧期間の短縮により、より短いサービス時間帯で非実稼働ワークロード向けに HA なしで一部の展開を実施し、クラスタリングの複雑さとアップグレードおよび/またはパッチ適用に必要なダウンタイムをなくすことができる可能性があります。また、全体的なシステム障害のシナリオに対処し、ホット スペアを用いて DB を復旧できるように、SAP HANA L インスタンスの各リージョンでホット スペアが用意されています。

HA/DR の TCO の削減

新しいインスタンスの特長であるより高いメモリ密度により、ビジネス継続性の目的で新しい展開オプションを選択することも可能になります。永続メモリに事前に読み込まれたデータを用いて、プライマリ サイトのより小規模な DRAM のみのノードから、1:2 および 1:4 の比率により大規模なインテル Optane ノードにデータを複製できます。高密度な Optane ノードは、QA テストの用途で利用でき、プライマリ サイトでフェールオーバーを行う際にプライマリ ノードとして機能させることもできる、2 つの目的を兼ねたノードとして利用可能です (図 3 参照)。これにより、QA および DR 専用のスタンドアロン インスタンスが不要になるためコスト削減ができます。より大規模な Optane ノードのデータは、Optane PMem に事前に読み込まれます。これにより、ディスクからデータを読み込む必要がなくなり、ダウンタイムが短縮されることで、RTO 時間と RPO 時間が短くなります。

QA/開発テストおよび DR のニーズに対応する DR サイトの 2 つの目的を兼ねたノードにより TCO を削減

図 3: QA/開発テストおよび DR のニーズに対応する DR サイトの 2 つの目的を兼ねたノードにより TCO を削減

同様に、スケール アウトの S/4 HANA の設定において HSR の複製が行われた構成を単一の共有 HA Optane ノードに 1:4 の比率で複製し (図 4 参照)、複数の HA インスタンスを管理する複雑さを軽減させることで、TCO を削減し、サービス時間帯を短縮します。

スケール アウトの展開でより高度な共有メモリ ノードを使用して HA と DR の TCO を削減

図 4: スケール アウトの展開でより高度な共有メモリ ノードを使用して HA と DR の TCO を削減

インテル Optane で SAP HANA を実現

サポート対象の OS バージョン

以下は、インテル Optane 永続メモリ (PMem) テクノロジの使用でサポートされる OS と HANA のバージョンに関するガイダンスです。

以下の OS バージョンでアプリ ダイレクト モードのインテル Optane がサポートされます。

  • RHEL 7.6 以降
  • SLES* 12 SP4 以降
  • SLES 15 以降

SAP HANA のサポート

SAP HANA 2.0 SPS 03 は、アプリ ダイレクト モードのインテル Optane をサポートする最も古い SAP HANA バージョンです。Optane ノードを使用するお客様に推奨されるバージョンは SAP HANA 2.0 SPS 04 (またはそれ以降のバージョン) です。SAP HANA は、PMem のリージョン、名前空間、およびファイル システムを構成することで、アプリ ダイレクト モードのインテル Optane を利用できます。HANA L インスタンス運用チームは、Optane ノードをお客様に引き渡す前に、構成の設定を支援します。

SAP HANA の構成

SAP HANA は、新しいインテル Optane PMem DIMM を認識する必要があります。SAP HANA が基本パスとして利用するディレクトリを PMem 用に作成されたファイル システムにマウントする必要があります。Optane を利用するには、SAP HANA SPS 04 以降のバージョンが必要になります。以下は、PMem ボリューム用の基本パスを設定するための専用コマンドです。

global.ini ファイルの [persistence] セクションで、次のコマンドを実行して、マウントされたすべての PMem ボリュームのコンマ区切りのリストを含む行を指定します。これにより、SAP HANA が PMem デバイスを認識し、列ストア データをモジュールに読み込むようになります。

[persistence]
basepath_persistent_memory_volumes=/hana/pmem/nvmem0; /hana/pmem/nvmem1; /hana/pmem/nvmem2; /hana/pmem/nvmem3

詳細

S224 SKU の詳細については、Microsoft アカウント チームにお問い合わせください。Azure での SAP ソリューションの実行に関する詳細については、SAP on Azure を参照するか、無料の SAP on Azure 実装ガイドをダウンロードしてください。


i 「インテル、まもなくリリースされるインテル Xeon プロセッサー スケーラブ ル ファミリーのパフォーマンスが 1.59 倍向上していることを発表 (英語)」