Azure Cost Management の更新 – 2019 年 6 月

2019年7月1日 に投稿済み

Program Manager, Azure Cost Management

入学したばかりの学生であっても、業績好調なスタートアップ企業や大手エンタープライズ企業に属する社会人であっても、財務的な制約と無縁ではいられません。このため、支出の品目や支出先を把握し、今後の支出計画を立てる必要があります。だれしも請求額を見て驚くような事態は避けたいはずです。ここで出番となるのが Azure Cost Management です。

マイクロソフトは常に、ユーザーの皆様の課題について理解するよう努めています。Cost Management を通じて、クラウドでコストが発生している場所の的確な把握、不適切な支出パターンの特定と防止、コストの最適化を促進し、ユーザーの皆様が少ないコストでより多くの成果を達成できるよう支援する方法を模索しています。

以下は、皆様のフィードバックに基づいて追加された最新の機能強化です。

それでは、順に詳しくご説明しましょう。

 

Enterprise Agreement と AWS の予約とマーケットプレースに関する購入

効果的なコスト管理は、すべてのコストを一元的にまとめ、1 つの分類法で整理することから始まります。今回新たに、予約とマーケットプレースに関する購入費用が管理できるようになり、Azure の Enterprise Agreement (EA) と AWS のコストをさらに包括的に把握できるほか、多額の予約コストを、予約特典を利用しているチームまでたどって追跡できるようになりました。予約の購入費用が細分化されることで、原価配分の作業が簡素化され、これまで以上に簡単に社内のチャージバック (コスト配賦) を管理できます。

同一期間の償却コストが 2.43 億ドルで、実際のコストが 5 万ドル弱と表示されている。仮想マシンのコストは事前購入された予約に基づいて表示される。

コスト分析画面を開き、EA の課金アカウント、AWS の統合アカウント、または両方を含む管理グループにスコープを変更します。コストの分類や詳細な分析のためのグループ化とフィルタリングの新しい 4 つのオプションが確認できます。

  • Charge type: 利用に基づく料金か、購入によって発生したコストか、返金のあるコストかを示します。
  • Publisher type: コストの発生元 (Azure、AWS、マーケットプレース) を示します。マーケットプレースのコストにはすべてのクラウドが含まれます。プロバイダーに基づいて、Azure の合計コストか AWS の合計コストか、またファースト パーティのコストかサード パーティのコストかが区別されます。
  • Reservation: 予約に関連付けられているコストを明示します (該当する場合)。
  • Frequency: 使用量に基づくコストか、1 回限りの料金か、定期的な課金かを示します。

既定では、コスト分析では実際のコストが請求書に記載されるとおりに表示されます。これは、請求書の調整には適していますが、多額の購入があった場合にコストが急増したように見えてしまいます。また、予約は前払いであるため、予約リソースの利用状況がコストとして表示されず、サブスクリプション、リソース グループの担当者が実質的なコストを把握できなくなります。そこで「償却」が必要になります。

償却コスト ビューに切り替えると、予約の購入費用を日単位に分割して予約期間で配分した形で確認できます。たとえば、1 月に 365 ドルの購入があったと表示されるのではなく、1 月 1 日から 12 月 31 日まで毎日 1 ドルの購入をしているように表示されます。基本的な償却に加えて、これらのコストは、予約を利用する特定のリソースに配分され、関連付けられます。たとえば、前述の 1 日 1 ドルのコストを 2 つの仮想マシンで分ける場合、1 日に 0.5 ドルのコストが 2 つ発生しているように表示されます。予約の一部が利用されていない日がある場合、0.5 ドルは仮想マシンに関連付けられたコストとして、別の 0.5 ドルは新たに導入された料金タイプの「UnusedReservation (未使用の予約)」というコストとして表示されます。

サブスクリプション、リソース グループ、AWS 関連アカウントの担当者は、償却コスト ページを確認してそれぞれの実質的なコストを把握できます。これらの担当者は、課金アカウントでしか表示されない購入コストを見ることはできませんが、予約に基づく割引後のコストを確認できます。

シンプルなチャージバック レポートを作成するには、償却コストのページを開き、細分性オプションを選択せずに特定の期間の総コストを表示し、リソース グループごとにグループ化して、テーブル ビューに変更します。次に、データを Excel または CSV としてダウンロードします。これでオフライン分析をしたり、ユーザーが持っているデータとマージしたりできます。

償却コスト ページのテーブル ビューの画像

コスト データの取得を自動化するには 2 つの選択肢があります。Query API を使用すると、動的なフィルタリング、グループ化、集計によって詳細な分析が可能です。Usage Details API を使用すると、集計されていないコストおよび利用状況データすべてを取得できます。Usage Details API は Azure スコープでのみ利用できます。これらの API の一般提供 (GA) バージョンは「2019-01-01」ですが、「2019-04-01-preview」を使用すると、予約とマーケットプレースに関する購入費用も含めることができます。

例として、課金タイプ、発行元タイプ、リソース グループ (購入の費用の場合は空になります)、予約インスタンス (予約がない場合は空になります) などでグループ化した償却コストの集計を取得する場合は、次のようになります。

 POST https://management.azure.com/{scope}/providers/Microsoft.CostManagement/query?api-version=2019-04-01-preview Content-Type: application/json { "type": "AmortizedCost", "timeframe": "Custom", "timePeriod": { "from": "2019-06-01", "to": "2019-06-30" }, "dataset": { "granularity": "None", "aggregation": { "totalCost": { "name": "PreTaxCost", "function": "Sum" } }, "grouping": [ { "type": "dimension", "name": "ChargeType" }, { "type": "dimension", "name": "PublisherType" }, { "type": "dimension", "name": "Frequency" }, { "type": "dimension", "name": "ResourceGroup" }, { "type": "dimension", "name": "SubscriptionName" }, { "type": "dimension", "name": "SubscriptionId" }, { "type": "dimension", "name": "ReservationName" }, { "type": "dimension", "name": "ReservationId" } ] } }

集計データではなく、Azure スコープの生データすべてを取得する場合は、次のようになります。

 GET https://management.azure.com/{scope}/providers/Microsoft.Consumption/usageDetails?metric=AmortizedCost&$filter=properties/usageStart+ge+'2019-06-01'+AND+properties/usageEnd+le+'2019-06-30'&api-version=2019-04-01-preview

請求書に記載されているとおりの購入費用を取得するために実際のコスト データが必要な場合は、type または metric を「ActualCost」に変更するだけです。これらの API の詳細については、Query API (英語)Usage Details API (英語) のドキュメントを参照してください。公開されているドキュメントは GA バージョンのものですが、2019-04-01-preview バージョンの API でも、新しい type/metric 属性以外の部分は同じです。

Cost Management API は、リソースよりも上位のすべてのスコープに対応しています。つまり、Azure RBAC (ロールベースのアクセス制御) に関連するスコープ (リソース グループ、サブスクリプション、管理グループ)、EA ポータルでの管理に関連するスコープ (EA 課金アカウント (加入契約)、部門、登録アカウント)、Azure RBAC で管理される他のスコープ (AWS の一括請求アカウント、関連アカウント) です。スコープ ID の調べ方、アクセスの管理方法など、スコープの詳細については、「スコープを理解して使用する」をご覧ください。

予約とマーケットプレースに関する購入のサポートは現在プレビューとして Azure Portal で提供されていますが、今後数週間のうちに世界各地で一般提供を開始する予定です。それまではプレビューをお試しいただき、ぜひフィードバックをお寄せください。

 

Azure と AWS のコストの予測

更新 (2019 年 7 月 3 日): 一般提供を開始しました。

歴史は多くのことを教えてくれます。これまでの歩みを振り返ることは、これから進もうとしている方向を知るうえでとても重要です。コスト管理でも同じことが言えます。アプリケーションや組織の傾向を把握するために、まずは過去のコストを調べるとよいでしょう。しかし、実際に健全で最適化された状態にするには、今後の計画を立てる必要があります。そこで今回、Cost Management の予測機能を利用できるようになりました。

コスト分析のページで予測されたコストを確認できます。コストの傾向が予測、視覚化されるため、事前にアクションを起こし、あらゆるスコープで予算やクレジットの超過を防ぐことができます。リソース グループ内の 1 つのアプリケーションから、サブスクリプション全体、課金アカウント全体、さらには Azure と AWS の両方のリソースを束ねる上位レベルの管理グループまで、あらゆる範囲での予測がサポートされます。AWS アカウントへの接続については、先月の新機能をまとめたブログ記事 (英語) をご覧ください。

予算に対する警告レベルが 1,750 万ドルに設定された状態で、累積コストが 1,470 万ドルに達し、予測が 1,790 万ドルと表示されているコスト分析ページ

コスト管理の予測機能は、現在コスト分析ページで利用できます。ぜひお試しになり、今後の機能についてのご要望をお知らせください。

 

Enterprise Agreement と Microsoft Customer Agreement におけるコストと利用状況に関する用語の標準化

従量課金制 (PAYG)、Enterprise Agreement (EA)、クラウド ソリューション プロバイダー (CSP)、Microsoft Customer Agreement (MCA) のどのアカウントを利用しているかによって、使われる用語が異なる場合があります。これらの違いは軽微なものであり、お客様が請求書を理解、整理するうえで影響を与えるものではありません。しかし、お客様の組織が成長し、複数の種類のアカウントに対応した包括的なコスト管理ソリューションが必要になるにつれて、問題が生じてきます。AWS への対応、PAYG、EA、CSP のアカウントの MCA への最終的な移行を考慮すると、この問題はさらに重大になります。そこで、次の EA 更新時の MCA への移行を効率化するために、Cost Management では、MCA の用語に合わせて新しい項目名やプロパティ名を使用することにしました。EA のアカウントとの主な相違点は次のとおりです。

  • EnrollmentNumber → BillingAccountId/BillingProfileId
    • EA の加入契約は、現在 Azure Portal 内では「課金アカウント」として表示され、コストおよび利用状況データ内では今と同じ BillingAccountId に対応付けられます。この点に変更はありません。また MCA では、1 つの課金アカウントで複数の請求書を作成する機能も導入され、このような請求書の設定を「課金プロファイル」と呼びます。EA では 1 つの請求書しか作成されないため、加入契約は実質的に課金プロファイルと対応しています。この概念モデルに従って、加入契約番号は BillingAccountId と BillingProfileId の両方に使用されます。
  • DepartmentName → InvoiceSectionName
    • MCA には、請求書内のサブスクリプションをグループ化するための EA の部門に似た概念があります。これを「請求書セクション」と呼び、課金プロファイルの下にネストされます。EA の請求書ではこの方策による変更はありませんが、一貫性を持たせるために、コスト データ内では EA の部門は InvoiceSectionName となります。
  • ProductOrderName (新規)
    • Azure サブスクリプション プランのような、料金が適用される大規模な製品を識別するための新しいプロパティです。
  • PublisherName (新規)
    • サービスの提供元を示すための新しいプロパティです。
  • ServiceFamily (新規)
    • 関連するメーター カテゴリをグループ化するための新しいプロパティです。

EA 加入契約を新しい MCA に更新したいと考えている組織の皆様は、キー ベースの EA API (consumption.azure.com など) から、これらの新しいプロパティを使用する最新の Usage Details API (英語) (バージョン 2019-04-01-preview) に移行して、今後の移行作業を最小限に抑えることを本格的に検討する必要があります。キー ベースの API は、MCA の課金アカウントではサポートされません。

新しい用語の詳細については、「Azure の利用状況と請求金額ファイル内の用語について」をご覧ください。

 

管理グループの予算設定による複数のサブスクリプションにわたるコスト監視

どの組織にも予算の上限があります。Cost Management の予算機能を利用すると、予算を超過しないように徹底することができます。今回、管理グループを使用することで Azure と AWS のリソースをまたいで予算を作成できるようになりました。

管理グループの予算

サブスクリプションを管理グループでまとめ、フィルターを使用して、チームに最適な形で予算を適切に調整できます。

詳細については、チュートリアル「Azure の予算を作成して管理する」をご覧ください。

 

ダッシュボードのタイルの更新

ご存じのとおり、コスト分析のカスタマイズ ビューはダッシュボードにピン留めできます。

ブレードの右上にあるピン アイコンからコスト分析のビューをダッシュボードにピン留め

これらのタイルは、ピン留めした際に選択されている特定の日付範囲で固定されることにお気付きでしょうか。たとえば、1 月に今月のコストを表示するよう選択したとすると、タイルは常に 1 月のデータを表示し、2 月や 3 月になってもそのままです。この問題が解消されました。

日付選択で選択された組み込みの範囲が、コスト分析のタイルで維持されるようになりました。「今月」でピン留めすると、常に現在のカレンダー上の月が表示されます。「過去 7 日間」でピン留めすると、いつでも過去 7 日間のデータを確認できます。ただし、カスタムの日付範囲を選択した場合は、常にその特定の日付範囲で表示されます。

この最新の動作を反映するには、ピン留めしたタイルを更新してください。タイル上のグラフをクリックしてコスト分析ページを開き、日付範囲を選択して、ダッシュボードにピン留めをし直すだけです。新しいタイルでは、選択したとおりのビューが維持されます。

コスト ダッシュボードを作り込む際、他に必要な機能はありませんか。他の日付範囲の追加など、ご要望がありましたらお聞かせください。

 

コスト レポートのリソース タグのサポート拡大

タグ付けは、組み込みの管理グループ、サブスクリプション、リソース グループの階層外のリソースを整理、分類するための最適な方法であり、独自のメタデータを追加して、コスト分析でカスタム レポートを作成することができます。ほとんどの Azure リソースでタグがサポートされていますが、一部の種類のリソースではサポートされていません。今回新たにサポートされるようになったリソースは以下のとおりです。

  • App Service 環境
  • Data Factory サービス
  • Event Hubs 名前空間
  • Load Balancer
  • Service Bus 名前空間

タグは利用状況レコードの一部であり、タグを適用した後で Cost Management レポートでのみ利用できます。過去のコスト データはタグ付けされていないため、最適なコスト レポートを作成するには、リソースのタグを今すぐ更新してください。

 

Cost Management の YouTube チャンネル開設

先月の記事では、8 つの新しいクイックスタート ビデオ (英語) を紹介しました。これをご覧になれば、Cost Management の利用をすぐに始められます。新設の Azure Cost Management チャンネル (英語) に登録すると、いつでも新たに公開された動画をチェックできます。コスト最適化に関する一連の動画コレクションの最新動画はこちらです。

今後取り上げてほしいトピックがございましたらお知らせください。

 

今後について

今回ご紹介したのは、先月から大きく更新された機能のほんの一部です。マイクロソフトは常に皆様からのフィードバックに耳を傾け、改善に取り組んでいます。ぜひ今後もフィードバックをお寄せください! 

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