Azure Machine Learning は Outlook の "返信の候補" をどのように支えているか

2020年3月23日 に投稿済み

Partner Group Program Manager, AI Platform Management

Microsoft 365 アプリケーションは、人工知能 (AI) などの画期的なテクノロジによって各種のすばらしい機能を実現していますが、あまりにも身近な存在のため、見落とされてしまう機能もあります。Microsoft Outlook はメール、予定表、連絡先、タスクなどを 1 か所で効率的に処理できるようにユーザーを支援するメール クライアントです。

ユーザーがメール作業時に高い生産性を発揮し、余裕を持ってメールを処理できるよう、Web バージョンの Outlook と iOS 版および Android 版 Outlook アプリに、Azure Machine Learning サービスによって動作する新機能 "返信の候補" が追加されました。Outlook on the web と Outlook モバイルは、クイック返信で返答できるメール メッセージを受け取った場合に、返答の選択肢を 3 つ提示するようになりました。ユーザーはこの選択肢を利用して、わずか数回のクリックやタップで返信を実行できます。この機能は、メール返信の時間や労力を削減することで、仕事と私生活の両面でコミュニケーションを支援します。

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"返信の候補" 機能を裏で支えている開発者チームは、多様な背景を持つデータ サイエンティストや、デザイナー、機械学習エンジニアで構成されています。開発チームはコミュニケーションの迅速化、簡素化によって Microsoft Outlook ユーザーの毎日の暮らしをよりよくするために尽力しています。また、最先端の自然言語処理 (NLP) テクノロジと機械学習 (ML) テクノロジを先駆けて応用しています。これらのテクノロジを活用することで、メールでのユーザー同士のコミュニケーションのあり方を理解し、生産性の観点からメッセージのやり取りを改良し、よりよいユーザー エクスペリエンスを創出しています。

機能の舞台裏

メールのやり取りから生じる膨大な生データを処理するために、開発者チームは Azure Machine Learning パイプラインを使ってトレーニング モデルを構築しています。Azure Machine Learning パイプラインを利用することで、チームはトレーニング手順全体をデータのクリーンアップ、変形、特徴量抽出、トレーニング、評価といった個別のステップに分割できています。Azure Machine Learning パイプラインは生データを変換し、モデルとして出力します。この機械学習パイプラインを利用して、データ サイエンティストは、プライバシー順守とコンプライアンス チェックの徹底された仕組みの中で、トレーニング パイプラインを構築できています。

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このモデルのトレーニングに向けて、開発者チームには 1 億件以上のメッセージを含む大規模なデータ セットを構築および準備する方法が必要となりました。その実現のために、チームは広範なユーザー ベースからデータをサンプリングし取得する分散処理フレームワークを活用しました。

"返信の候補" モデルのトレーニングに用いられるトレーニング データの保存には、Azure Data Lake Storage が使われました。取得されたデータはクリーニングとキュレーションを経て、(メール返答の候補を含む) 返信メッセージ ペアとして Azure Data Lake Storage (ADLS) に保存されます。またトレーニング パイプラインでは ADLS に保存された返信ペアを利用してデータのトレーニングも行います。機械学習トレーニング自体の実行のためには、チームは Azure で提供されている GPU プールを利用しています。トレーニング パイプラインはこのようなキュレーションされた返信メッセージ ペアを活用し、与えられたメッセージに基づく適切な返信を提案する方法について学習します。モデルを作成後、データ サイエンティストは前のモデルとパフォーマンスを比較して、どちらのアプローチが適切な返信候補の提案をよりうまく行えているか評価します。

Outlook のチームは Azure プラットフォームを利用し、"返信の候補" のような機能の構築に求められる大規模なデータ セットの準備を Office 365 コンプライアンス標準に従って実行することで、ユーザーのデータの保護を促進しています。データ サイエンティストは、プライバシー ポリシーの遵守を担保するコンピューティングおよびワークフロー関連の Azure ソリューションを利用して、実験を作成し、さまざまなモデルを GPU 上でトレーニングしています。このアプローチは全体の開発者エクスペリエンスに寄与し、内部の開発ループ サイクルに俊敏性をもたらしています。

今回ご紹介した内容は、その一例に過ぎません。Azure AI の革新的な機能を利用して、より優れたユーザー エクスペリエンスを創出しているマイクロソフト製品は、このほかにも多数あります。開発者チームは日々のフィードバックから学習し、この機能をユーザーのために改良するとともに、提供される返信候補の種類を拡張しています。Azure ブログを購読し、開発者チームの最新動向をチェックしていただくことで、この機能のリリース情報をいち早くご確認いただけます。

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Outlook on the web でインテリジェント テクノロジがどのように使われているかについて、詳しくはこちらをご参照ください。