このたびマイクロソフトは、Open Invention Network (OIN) に加入することを発表しました。OIN とは、Linux を始めとするオープン ソース ソフトウェア プログラムを特許関連のリスクから保護することを目的としたコミュニティです。
OIN への加入は、マイクロソフトとオープン ソース コミュニティの間に特許関連の不和があったことを知る皆様にとって、驚きの出来事だったかもしれません。しかし当社のこれまでの歩みを知っている方なら、今回の発表は納得のいくステップだと受け止めていただけるでしょう。なぜならマイクロソフトは、お客様や開発者の皆様に常に耳を傾け、Linux を始めとするオープン ソース プログラムに真摯に貢献してきたからです。
OIN は 2005 年の設立以来、企業の特許関連のリスク管理において中心的な役割を担ってきました。OIN の設立以前は、オープン ソース ライセンスの大部分は著作権にのみ明示的に対応し、特許には沈黙を保っていました。OIN はこの問題への対処を目的に設立された組織であり、Linux システム テクノロジを扱う複数の加盟企業が特許をクロスライセンス化するために有志で運営しています。 また、OIN はコミュニティを守るために積極的に特許を取得したり、オープン ソースと知的財産の関係性について教育やアドバイスを提供するなどの活動も行っています。現在 OIN では、CEO の Keith Bergelt 氏と委員会のもとで、世界約 2,650 社にライセンス プラットフォームを提供しています。ライセンスの被許諾者は、個人開発者やスタートアップ企業から大手テクノロジ企業や特許権者まで、多岐にわたります。
OIN への加入は、マイクロソフトの特許に対する着実な取り組みと、Linux を始めとするオープン ソース テクノロジを普及させたいという当社の見解を反映しています。マイクロソフトの特許に対する取り組みは 2 年以上前に開始しており、具体的には、Azure IP Advantage プログラムなどがあります。このプログラムは、Azure サービスに使用されているオープン ソース ソフトウェアの補償対象を拡大するものです。また、Red Hat などの企業が GPL v.3 の "治癒" の原則を GPL v.2 のコードに適用することを支持し、LOT Network に最近加入することで、この新しいアプローチを強化しました。LOT Network は、特許を主張する企業による特許悪用への対処を専門とする団体です。
Microsoft は、開発者が Windows か Linux か、あるいは .NET か Java かといった二者択一を迫られるのではなく、すべてのテクノロジに対応するクラウド プラットフォームを求めるのは当然であると考えています。開発者は、顧客のニーズを満たすテクノロジをエッジのあらゆるデバイスにデプロイできることを求めています。また、イノベーションを促進するには、オープン ソース プロセスを通じて共同で開発することが効率的であることもマイクロソフトは理解しています。このためマイクロソフトは、10 年以上前から自社テクノロジのオープン ソース化に取り組み (ASP.NET の一部をオープン ソース化したのは、なんと 2008 年でした)、オープン ソースに大きく貢献する世界有数の企業の 1 つになりました。マイクロソフトの従業員は 2,000 以上のプロジェクトに協力しており、Azure で使用されている主な Linux ディストリビューションのすべてに最高クラスのサポートを提供しています。また、マイクロソフトは、.NET Core、TypeScript、VS Code、PowerShell などの主要プロジェクトをオープン ソース化しています。
OIN に加入したことをきっかけに、マイクロソフトはこれまで以上に Linux を始めとする重要なオープン ソースのワークロードを特許主張から保護できるようになると考えています。マイクロソフトは、当社が保有する専門性の高い貴重な 60,000 件超の特許を OIN に開放します。また、当社の加入が他社の加入を促進し、オープン ソース コミュニティのライセンス ネットワーク強化につながることを期待しています。
マイクロソフトは今後 OIN およびそのメンバーに貢献し、コミュニティと共同で取り組むことによって、オープン ソースの開発者とユーザーが Linux エコシステムを保護し、オープン ソース ソフトウェアのイノベーションをさらに促進できるようになることを願っています。