Azure ハイブリッド特典 (AHB) を利用すると、Microsoft ソフトウェア アシュアランスのお客様は Azure に移行するアプリケーションにオンプレミスの Windows Server ライセンスを適用し、データセンターをクラウドに簡単に拡張することができます。AHB プログラムでは、アプリケーションを業界最先端のハイブリッド エンタープライズ パブリック クラウドに移行して、大幅なコスト削減と資産の生産性を実現できるだけでなく、ライセンス コストも大幅に削減できます。
Azure Site Recovery (ASR) は、アプリケーションを Azure に移行するお客様に最適なツールです。ASR では仮想化プラットフォームと物理サーバーを使用して、最小限のダウンタイムでストレスなくアプリケーションを Azure に移行できます。また、Azure 上で事前にアプリケーションをテストできるほか、復旧計画に沿ってワンクリックで移行可能なため、Azure への移行作業がとても簡単です。ASR では Windows Server や各種 Linux ディストリビューションなどのさまざまな OS の移行をサポートしており、アプリケーションを実行しているプラットフォームの種類を気にすることなく利用できます。さらに、ASR は無料でご利用いただけます。 ご存じでない方もいたかもしれませんが、ASR での移行は無料で実施できます。 また、サーバーの複製を開始してから 31 日間は、Azure で使用するストレージとコンピューティングの料金だけで移行テストを行うことができます。
そしてこのたび、ASR で Windows Server から Azure への移行に HUB をご利用いただけるようになりました。このブログ記事では、ASR と AHB を使用して Windows Server 環境を Azure に移行する方法について説明します。
Azure Site Recovery でのセットアップ
まずは、ASR でセットアップを行い、Azure へのアプリケーションの移行を開始します。この作業は、以下の手順のとおりわずか数ステップで簡単に行うことができます。
Hyper-V で仮想化されている場合は、こちらの記事に従ってサーバーを Azure にレプリケートしてください。
VMware で仮想化されている場合や物理サーバー上で実行されている場合は、こちらの記事に従ってレプリケーションの準備をしてください。
AHB は Azure Resource Manager (ARM) モデルの仮想マシンに移行するサーバーでのみ利用できます。レプリケーション用に選択したストレージ アカウントが、従来のストレージ アカウントではなく、ARM ストレージ アカウントであることを確認してください。
初期複製が完了したら、サーバーは ASR で保護済みの状態になります。この時点から、アプリケーションを Azure に移行するテストと移行作業の準備を開始できます。
Azure ポータルの複製されたアイテムの設定ブレードで [Compute and Network] 構成に移動し、移行先の Azure 仮想ネットワークと仮想マシンのサイズを選択します。
AHB を使用するための移行の構成
サーバーが保護され、テスト フェールオーバーを実行して Azure でアプリケーションを検証したら、後はサーバーの移行時に AHB を使用するように ASR を構成するだけです。この作業は、Azure PowerShell を使用して数ステップで簡単に行えます。こちらから最新バージョンの Azure PowerShell を入手します。AzureRM.SiteRecovery モジュールが最新バージョン (バージョン 3.1.0 またはそれ以降) であることを確認してください。
PS C:Usersbsiva> Get-Module -ListAvailable AzureRm.SiteRecovery Directory:C:Program Files (x86)Microsoft SDKsAzurePowerShellResourceManagerAzureResourceManager ModuleType Version Name ExportedCommands ---------- ------- ---- ---------------- Manifest 3.1.0 AzureRM.SiteRecovery {Get-AzureRmSiteRecoveryFabric, New-AzureRmSiteRecoveryFabric, Remove-AzureRmSiteRecoveryFabric, Stop-AzureRmSiteRecoveryJob...}
自身の Azure アカウントでログインして Azure サブスクリプションを選択します。
PS C:Usersbsiva> Login-AzureRmAccount Environment :AzureCloud Account : bsiva@microsoft.com TenantId : xxxxxxxx-xxxx-xxxx-xxxx-xxxxxxxxxxxx SubscriptionId : xxxxxxxx-xxxx-xxxx-xxxx-xxxxxxxxxxxx SubscriptionName :ASR PM team subscription 5 CurrentStorageAccount : PS C:Usersbsiva> PS C:Usersbsiva> PS C:Usersbsiva> Select-AzureRmSubscription -SubscriptionName "DR Hybrid Application Scenarios" Environment :AzureCloud Account : bsiva@microsoft.com TenantId : xxxxxxxx-xxxx-xxxx-xxxx-xxxxxxxxxxxx SubscriptionId : xxxxxxxx-xxxx-xxxx-xxxx-xxxxxxxxxxxx SubscriptionName :DR Hybrid Application Scenarios CurrentStorageAccount :
Recovery Services の資格情報コンテナーのコンテキストを設定します。
PS C:Usersbsiva> $vault = Get-AzureRmRecoveryServicesVault -Name "Contoso-RecoveryVault" PS C:Usersbsiva> Set-AzureRmSiteRecoveryVaultSettings -ARSVault $vault ResourceName ResourceGroupName ResourceNamespace ResouceType ------------ ----------------- ----------------- ----------- Contoso-RecoveryVault Contoso-Recovery Microsoft.RecoveryServices vaults PS C:Usersbsiva>
資格情報コンテナーで複製するマシンのリストを取得します。
PS C:Usersbsiva> $ReplicatedItems = Get-AzureRmSiteRecoveryFabric | Get-AzureRmSiteRecoveryProtectionContainer | Get-AzureRmSiteRecoveryReplicationProtectedItem PS C:Usersbsiva> $ReplicatedItems | Select-Object -Property FriendlyName FriendlyName ------------ Contoso-EngWikiDB Contoso-PayrollDB
移行対象となるマシンについて、AHB のライセンスの種類を設定します。
PS C:Usersbsiva> $Job1 = Set-AzureRmSiteRecoveryReplicationProtectedItem -ReplicationProtectedItem $ReplicatedItems[0] -LicenseType WindowsServer
ASR ジョブが完了したことを確認します。
PS C:Usersbsiva> Get-AzureRmSiteRecoveryJob -Job $Job1 Name : xxxxxxxx-xxxx-xxxx-xxxx-xxxxxxxxxxxx ID : /Subscriptions/xxxxxxxx-xxxx-xxxx-xxxx-xxxxxxxxxxxx/resourceGroups/Contoso-Recovery/providers/Microsoft.RecoveryServices/vaults/Contoso-RecoveryVault/repl icationJobs/xxxxxxxx-xxxx-xxxx-xxxx-xxxxxxxxxxx Type : JobType :UpdateVmProperties DisplayName :Update the virtual machine ClientRequestId : xxxxxxxx-xxxx-xxxx-xxxx-xxxxxxxxxxxx-2016-10-19 18:50:18Z-P ActivityId: xxxxxxxx-xxxx-xxxx-xxxx-xxxxxxxxxxxx State :Succeeded StateDescription :Completed StartTime :10/20/2016 12:20:18 AM EndTime :10/20/2016 12:20:22 AM TargetObjectId : xxxxxxxx-xxxx-xxxx-xxxx-xxxxxxxxxxxx TargetObjectType :ProtectionEntity TargetObjectName :Contoso-EngWikiDB AllowedActions : Tasks :{Update the virtual machine properties} Errors : {}
これで完了です。アプリケーションを Azure に移行するための設定作業がすべて完了しました。
Azure への移行
ASR のセットアップが完了し、AHB を利用して Azure に移行する準備ができました。後はアプリケーションを Azure に移行するだけです。この作業は、ポータルまたは ASR PowerShell コマンドレットのいずれからでも可能です。ポータルから実行する場合は、Recovery Services の資格情報コンテナーに移動し、セットアップが完了した複製対象のマシンまたは復旧計画を選択してからフェールオーバー操作を選択します。
フェールオーバー ジョブが正常に完了すると、サブスクリプション内の仮想マシンに移行された VM が表示されます。VM がライセンスの特典を利用していることを確認します。
この時点で、[移行の完了] を選択して、Recovery Services コンテナーでセットアップされたレプリケーションをクリーンアップし、アプリケーションをホストするためにこれまで使用されていたオンプレミス インフラストラクチャを廃止できます。
クラウドへの移行は驚くほど簡単になり、シンプルな手順で既存のアプリケーションを移行し、クラウドの優れた経済性とハイパースケールに対応した Azure プラットフォームの能力を手軽に利用することができます。
さらに ASR を活用して、自社の IT インフラストラクチャでビジネス継続性を確保したり、アプリケーションを移行したりするには、以下の情報を参照ください。
その他の製品情報を確認し、Azure Site Recovery を使用した Microsoft Azure へのワークロードのレプリケーションを今すぐ開始できます。物理サーバーまたは VM を新たにレプリケートするたびに、Site Recovery の強力なレプリケーション機能を無償で 31 日間ご利用いただけます。追加情報については、MSDN の Azure Site Recovery フォーラムをご覧ください。フォーラムでは、他のお客様との情報交換を行うこともできます。また、今後希望される機能がありましたら、ASR UserVoice でお知らせください。