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今日、医療用計算ワークロードの多くは、依然として医療現場やその近辺に存在しています。その原因としては、高レイテンシ、低帯域幅、ワイヤレス電力要件や限度のあるバッテリ機能といった課題などが挙げられます。また、セルあたりの接続数の制限も IoT の今後の成長を阻む要因となっています。

4G LTE のレイテンシは通常 50 ~ 100 ミリ秒、帯域幅は 50 Mbps 以下、セルあたりの最大接続数は数千程度です。そのためユーザーは、資金を投資して高価で強力なハードウェアを購入し、必要とされる場所やその近辺に設置してセキュリティを確保し、寿命を迎えるまで維持する必要がありました。IoT やウェアラブル デバイスの場合、こうした制限があるために特定のユース ケースを実現できなかったり、機能が著しく制限されたりします。

一方で、5G のレイテンシは 1 ミリ秒未満、帯域幅は最大 10 Gbps、1 平方キロメートルあたりの接続数は最大 100 万に上るため、医療分野で多くの新しいイノベーションが可能になります。今回の記事ではその一部についてご紹介します。

クラウドから医療用 AR/VR を提供

現在、Microsoft HoloLens は、医療用 MR (複合現実) を実現しています。医療分野における AR と VR の市場価値は、2017 年に 7 億 6,900 万ドルと評価され、2023 年には 49 億 9,800 万ドルに達することが見込まれています。つまり、この予測期間中の年平均成長率 (CAGR) は 36.6% となる計算です。5G は、AR/VR/MR に関連する計算ワークロードをクラウド内で実行し、5G 経由で患者や医療従事者のヘッドセットに配信するうえで十分な低レイテンシと高帯域幅を提供します。この計算ワークロードには、モデル (特定の患者の診断画像を使用して作成されたその患者専用の VR モデルなど) を生成するワークロードと、ユーザーにモデルを提示してユーザーがモデルをリアルタイムで操作できるようにするワークロードの両方が含まれます。これらのテクノロジをクラウドから提供することで、AR/VR/MR 用ユーザー ハードウェアの資本支出が削減されるという実質的な効果があります。ユーザーに必要なハードウェアは、ヘッドセットのディスプレイと、音声用の「シン クライアント」および 5G 無線機だけです。そのため、患者のエンゲージメントと学習、医療従事者の研修、手術の計画とシミュレーション、PTSD の治療など、医療の向上を約束する無数のユース ケースを AR/VR/MR によって実現することが経済的に可能になります。

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IoMT (Internet of Medical Things) によってクラウドからの医療用分析/AI/ML を強化

2017 年の医療市場調査 の試算によると、2015 年には既に 45 億台の IoMT デバイスが存在していました。これは、全世界の IoT デバイス全体の 30.3% に相当します。2020 年にはこの数字が 200 ~ 300 億台に膨れ上がる見込みです。これらのデバイスには、患者のウェアラブル デバイスに加え、医療環境や患者の家庭に設置される IoMT デバイスも含まれます。IoMT デバイスは多くの場合、1 平方キロメートルあたり数百万の接続をサポートできる 5G 経由でクラウドに接続されます。また、5G によって IoMT デバイスは低帯域幅で接続できるようになるほか、低消費電力オプションにより、これらのデバイスにバッテリ駆動時間の長い低消費電力の無線機を搭載することができます。その結果、患者の周囲や患者が装着する IoMT デバイスが普及し、高度な解析、人工知能、機械学習に利用可能なデータが大幅に増加します。さらに、それらのプロセスによって医療従事者に新しいインサイトがリアルタイムで提供され、医療と患者のアウトカムの向上につなげることができます。こうしたソリューションは、Microsoft Azure Sphere によって IoMT デバイスからクラウドまでエンドツーエンドで保護されます。

医療機関向けの自動運転を実現

米国では、信頼できる交通手段が不足しているために、年間 360 万人の患者が診察の予約に間に合わず、無断キャンセル率が 30% にも上るという現状があります。Uber HealthLyft Concierge は既に交通手段の障壁を取り除き、医療機関が患者に便利な交通手段を提供できるようにしています。これにより、診察を予約した患者の来院率、ひいては医療が向上します。自動運転によって、このような交通手段のコストはさらに削減され、移動中の患者の安全性が向上します。5G により、最適な経路の決定、整備、患者エンゲージメントおよびエンターテインメント、コミュニケーションなど、自動運転をサポートする計算ワークロードが実現されます。また、5G によってクラウド移行が促進されることで、自動運転のコストがさらに削減され、最終的には医療コストの削減につながります。

今回ご紹介したのは、5G によってクラウドから提供できるようになるワークロードのほんの一部に過ぎません。これらのワークロードによって医療コストが削減され、医療の質や患者のアウトカムが向上します。5G の提供地域の拡大と、新たな種類の手頃でスケーラブルなクラウド ベースの計算ワークロードの実現に伴い、医療分野における新しいユース ケースが数多く登場することが期待されます。

5G のロールアウトを 2018 年中に開始

大手無線通信事業者の各社が今、5G のロールアウトに取り組んでいます。たとえば、Verizon は 2018 年第 4 四半期からサクラメントやロサンゼルスなど米国の複数の都市で 5G を提供する予定です。

IT/クラウド計画で 5G を考慮

医療機関で今後 3 ~ 5 年間の IT 計画を策定するにあたっては、5G を考慮することが重要です。5G により、このブログでご紹介したものをはじめ、多数のユース ケースを実現するワークロードをクラウドに移行する機会が新たにもたらされます。

こちらのブログ記事 では、信頼性と安全性の高いインテリジェントな Azure の医療用クラウド プラットフォームを使用して、医療機関がビジネスを変革し、患者の健康上のアウトカムを最適化している方法の詳細について説明しています。医療従事者が医療コストを削減し、患者のアウトカムを向上できるようにするマイクロソフトの医療機関向けソリューションの詳細については、こちらのページをご覧ください。また、「医療のための Azure」ではマイクロソフトのテクノロジによりビジネスを変革し、医療コストの削減、患者と医師のエクスペリエンスの改善、患者のアウトカムの向上を実現している医療機関のお客様の事例をご紹介しています。

ソーシャル メディアにも、新たな進展について定期的に投稿しています。ぜひ LinkedInTwitter のアカウントをフォローして最新の情報を入手してください。医療分野における 5G とクラウド コンピューティングの活用について、他にはどのようなチャンスや課題があるとお考えですか?ご意見、ご感想のほか、ご質問もお待ちしております。

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