• 6 min read

Azure Stack の活用によって生み出されるハイブリッド クラウド イノベーション

数週間のヨーロッパ滞在中、クラウド サービスをデータセンターやエッジに導入して新しいハイブリッド クラウド ソリューションを実現したいというお客様やパートナー様にお会いしました。

数週間のヨーロッパ滞在中、クラウド サービスをデータセンターやエッジに導入して新しいハイブリッド クラウド ソリューションを実現したいというお客様やパートナー様にお会いしました。レイテンシ、規制準拠、旧式のデータやシステムなど、さまざまな理由でパブリック クラウドを利用できない企業は、デジタル資産全体に一貫したエクスペリエンスを実現できる、真のハイブリッド クラウド ソリューションを求めています。既に Azure Stack を利用している企業もあり、マイクロソフトのインテリジェント クラウドやインテリジェント エッジを活用した革新的なデジタル トランスフォーメーション促進の方法など、実に有意義なお話を伺うことができました。

世界中のおよそ 60 か国の公共機関、製造、金融サービス、医療といった業界のお客様が、Azure Stack を利用してこれまで不可能とされていたシナリオを次々に実現していることを非常に嬉しく思います。これ以外にも、さらに新しい機能を追加していく予定です。マイクロソフトはお客様のニーズに応え、これからも Azure Stack に新機能やイノベーションをお届けしてまいります。

一貫性のあるハイブリッド クラウド

Azure Stack は、Azure との一貫性をとことん追求しています。クラウド コンピューティングの俊敏性とイノベーションがオンプレミスやエッジにもたらされることで、柔軟で操作性の高い環境をフルに活用して最新アプリを構築できます。Azure Stack では、Azure と同じツール、API、プロセスでアプリを開発し、クラウド、オンプレミス、エッジにデプロイできます。これにより、シンプルな管理エクスペリエンス、開発効率の向上、一貫したソフトウェア配信などが実現します。

Azure Stack の主要なミッションは Azure サービスでデータセンター機能を拡張することですが、小売店舗、石油掘削現場、船舶といったエッジ環境のシナリオで Azure Stack を利用したいというニーズも高まっています。

Azure Stack の機能のダイアグラム

図 1 – Azure Stack の機能

継続的なイノベーション

マイクロソフトは、Azure Stack のイノベーション実現に真摯に取り組んでいます。一貫したハイブリッド クラウド エクスペリエンスを確実にお届けするために、Azure の新機能に基づいたさまざまな機能を Azure Stack に定期的に追加しています。また、お客様からのフィードバックを直接反映し、Azure Stack サービスの優先度を決定しています。

最も新しい機能の 1 つが、Azure と Azure Stack で利用可能な Cognitive Service コンテナーです。Azure Stack で App Service、Functions、Storage などのサービスを組み合わせて Cognitive Services コンテナーを使用すると、Azure プログラミング モデルを踏襲しながら完全なアプリケーションを開発することができます。Kubernetes クラスターを Azure Stack で使用すれば、アプリケーション コンテナーを Cognitive Services コンテナーと連動させてデプロイ、スケーリングできます。また、開発者が最新の CI/CD 手法で、Azure にも Azure Stack にも容易にデプロイ可能なアプリケーションを開発することもできます。詳細については、ブログ記事「エッジに AI を導入する」をご覧ください。

昨年のリリース以来、既存システムへのノード追加、新しい VM タイプ、Pivotal Cloud Foundry や RedHat OpenShift といったマイクロソフト パートナーのサービスなど、マイクロソフトは Azure Stack に多くのサービスや機能を追加してきました。また、IoT Hub、Event Hubs、AKS、SQL Server 2019 など、現在プレビュー中または開発中のサービスも続々とリリースする予定です。

以下のロードマップは、マイクロソフトが Azure Stack のイノベーションをお届けしようとしている分野を示しています。

Azure Stack の機能とロードマップ

図 2 - Azure Stack の機能とロードマップ

Azure Stack を効果的に活用しているお客様事例

先に述べたとおり、Azure Stack の注目度は高く、製造業、金融サービス、医療、国や地方自治体など、多くの業界で導入されています。こういった業界は規制要件が特に厳しく、インターネット接続が制限される地域、または接続がない地域での運用も多く、古いアプリケーションを使用しているのが通例であり、Azure Stack はまさに理想的なソリューションと言えます。

Azure Stack を活用して現実世界の課題に対処している例をいくつかご紹介します。

Airbus Defence and Space は、Azure Stack を導入して、規制準拠とデータ ガバナンスに関するお客様の要件に対応しています。市場に出回っているテクノロジの中で、プライベート クラウドに関する同社のニーズを満たせるのは Azure Stack だけであるとして、IoT、ビッグ データ、機械学習、その他多数のクラウド サービスを活用して最新アプリを構築できることを高く評価しています。以下のビデオで、Airbus が Azure Stack を高く評価している理由をご覧ください。

製造

Atos と Siemens は、安全なマネージド クラウド インフラストラクチャに産業用 IoT アプリケーションをデプロイできるよう、パートナーシップを締結して、クラウド ベースのオープン IoT オペレーティング システム「MindSphere」向けに Azure Stack を提供することを発表しました。これが実現すれば、顧客はデータセンターにクラウドを導入して、工場におけるエッジ シナリオや非接続のシナリオに新たに対応できるようになります。

金融サービス

金融サービス企業は、Azure Stack を活用することで、リスクや運用モデルに関する高度なインサイトに基づいて運用を最適化し、オープンで連携の取れたシステムとリアルタイムのデジタル予測プロセスによって画期的な商品を生み出すことができます。

監査、税務、アドバイザリーの分野で専門サービスを提供している KPMG Norway は、GDPR のデータ プライバシー保護規制対応のために Azure Stack を導入しました。詳細については、こちらの導入事例の全文、および以下のビデオをご覧ください。

医療

大量の個人情報を保存、管理、処理する医療機関でも、Azure Stack は規制遵守のための安全な環境を整備するのに最適です。  さまざまな機能が揃っているため、ハイブリッド クラウド環境全体で最新アプリケーションを構築し、臨床、顧客、製品のデータを分析できるほか、個人情報や医療記録を安全な多層クラウド環境に保持して分析できます。

iMOKO とパートナーの Revera は、ニュージーランドの地方都市で、子供や地域のために迅速で頼れる医療サービスを提供しています。このクラウド ベースの医療システムは、インターネット接続が不安定な場所でも診断や治療が可能です。Azure Stack の導入により、iMOKO の医療システムの信頼性は大幅に向上し、データ主権やパブリック クラウドに接続できないといった問題にも対処できるようになりました。

政府機関: スマート シティ

今年初めに政府機関への Azure Stack の提供を開始し、ID、サブスクリプション、登録、請求、バックアップおよびディザスター リカバリー ソリューション、Azure Marketplace のあらゆる面で、真のハイブリッド クラウドを実現できるようになりました。

ノルウェーのドルメン市は、Azure と Azure Stack を導入し、データに関するコンプライアンス、規制、政策上の厳しい要件に対応しながら、革新的なデジタル サービスを住民に提供しています。アプリケーションの開発やデプロイ、データの管理には、Azure と Azure Stack の共通ツールを使用しています。Azure Stack でオンプレミスの主要 Azure サービスを活用したことで、パブリック クラウド非対応のオンプレミスの古いアプリケーションを最新化して、サイバー ディフェンスなどの要件に対応できるようになりました。

政府機関: 災害救助

公共セクターで Azure Stack に対する関心が高まっているもう 1 つの理由として、特殊任務用のエッジ ソリューションを展開できる点が挙げられます。Azure Stack では、現場のオフィス、車内、機内など、あらゆる場所のエッジに中核的で高度なクラウド サービスを組み込むことができます。

こうした耐久性に優れたシステムは、災害救助活動などの過酷な環境に特化して構築されています。Azure Stack を特殊任務車両に搭載することで、遅延やインターネット接続を気にすることなく現場でデータを処理できるようになります。収集されたデータを Azure で分析し、救助場所までの効率的かつ効果的なルートを割り出すなど、正確な予測を立てることが可能です。

こちらのビデオで紹介する特殊任務用エッジ ソリューションのユースケースでは、Azure サービスを活用した Azure Stack が稼働し、非接続環境で 1 トン サイズの特殊車両が活躍しています。

独自のハイブリッド クラウド ユース ケースに、Azure Stack でイノベーションを起こす

ご覧いただいたように、さまざまな業界のお客様が Azure Stack を活用して一貫性のある真のハイブリッド クラウドの効果を実感しています。Azure Stack のユース ケースは無限にあります。この 1 年で Azure Stack の飛躍的な勢いを目の当たりにし、お客様から多くのことを学びました。ハイブリッド クラウド エクスペリエンスに関して、Azure Stack が業界を大きく変える存在であることは明らかです。そして、Azure Stack はこれからもますます進化していくでしょう。今後提供される新機能については、Azure Stack のロードマップをご覧ください。

Azure Stack についてさらに詳しくご理解いただき、クラウドの俊敏性と迅速なイノベーションをニーズのあるあらゆる場所に組み込むための一歩を踏み出してください。Azure Stack の機能お客様事例をご覧いただき、ぜひ Azure Stack Developer Kit をダウンロードください。

また、皆様のマイクロソフト製品の活用事例を下のコメント欄でお聞かせください。