Azure Cost Management の更新 - 2019 年 7 月

2019年7月31日 に投稿済み

Program Manager, Azure Cost Management

入学したばかりの学生であっても、業績好調なスタートアップ企業や大手エンタープライズ企業に属する社会人であっても、財務的な制約と無縁ではいられません。支出の品目や支出先を把握し、今後の支出計画を立てる必要があります。請求額を見て驚くような事態はだれもが避けたいはずです。そこで出番となるのが Microsoft Azure Cost Management です。

マイクロソフトは常に、ユーザーの皆様の課題について理解するよう努めています。Azure Cost Management を通じて、クラウドでコストが発生している場所の正確な把握、不適切な支出パターンの特定と防止、コストの最適化を促進し、ユーザーの皆様が少ないコストでより多くの成果を達成できるよう支援する方法を模索しています。以下に、皆様のフィードバックに基づいて追加された最新の機能強化の一部をご紹介します。

それでは、順に詳しくご説明しましょう。

 

パートナー様向けの Azure Cost Management

パートナー様は、大小問わずあらゆる規模の組織におけるクラウドの計画、実装、長期的な運用の成功を支えるという重要な役割を果たしています。クラウドのコストを把握し、制御し、最適化できることは、Azure を販売するパートナー様、組織に代わって Azure を管理するパートナー様、また、より重要な課題に集中するためにインフラ管理をパートナーに任せているお客様といったあらゆる関係者にとって重要です。それを支援するのが、Azure Cost Management です。

今年の 6 月に、Cloud Solution Provider (CSP) プログラムの新機能について発表を行いました。導入は 2019 年 10 月を予定しています。この新機能が実装されると、CSP パートナー様は、Azure 全体で使用される Microsoft Customer Agreement (MCA) プラットフォームからお客様のオンボーディングを行えるようになります。また、CSP パートナー様とお客様の間で製品の整合性が図られ、従量課金制 (PAYG) やエンタープライズ契約のお客様に対して共通の Azure Cost Management ツールを同時に利用できるようになります。

Azure Cost Management の機能はパートナー様とそのお客様向けに最適化され、段階的にリリースされます。まずは、MCA のお客様が Azure Cost Management を有効化できる機能からスタートし、その後 MCA に移行しないお客様へのサポートなど、2019 年第 4 四半期から 2020 年にかけて定期的に機能強化を実施する予定です。

また、マネージド サービス プロバイダーのパートナー様は、ぜひ Azure Lighthouse の利用をご検討ください。Azure Lighthouse ではすべてのお客様のリソースを大規模かつ効率的に管理できます。Azure Cost Management を利用すれば、Azure と AWS のコストを一元管理したいお客様をサポートできます。

2019 年 10 月には他にも多くの機能強化を予定しています。特に多くのリクエストをいただいているパートナー様とそのお客様向けの機能を提供する予定です。

 

従量課金制 (PAYG) サブスクリプションの Marketplace の利用状況

先月こちらの記事で、コスト管理を効果的に行うには、まずすべてのコストをまとめて 1 つの分類法で整理するべきだとご説明しました。それを踏まえ、今回の更新では従量課金制 (PAYG) サブスクリプションの Azure Marketplace の利用状況を追加し、コストをさらにまとめて把握できるようにしました。

Azure と Marketplace では料金の請求サイクルが異なります。請求された料金を確認、照合するには、日付選択で Azure または Marketplace の請求期間を選択します。すべての料金をまとめて表示するには、カレンダーで月を選択します。[Publisher type] でグループ化すると、Azure および Marketplace のコストの内訳を確認できます。

Marketplace の PAYG フィルター

 

Cost Management ラボ

Cost Management ラボでは、Cost Management の最新機能と機能強化を試すことができます。既に皆様がお使いの機能もありますが、テスト段階の機能もあり、それらについては全世界にリリースする前の最終工程としてフィードバックを必要としています。Azure Cost Management の今後の方向性を決めるプロセスにぜひご協力ください。

Cost Management ラボには簡単にご参加いただけます。Azure プレビュー ポータルを開き、Azure の [Home] から [Cost Management] を選択するだけです。[Cost Management – Overview] には、テスト可能なプレビュー機能のほか、新しいアイデアの共有やバグの報告用のリンクが表示されます。バグの報告は、Azure Cost Management のエンジニアリング チームが直接確認し、お客様と協力して問題を把握、解決します。

現在 Cost Management ラボで利用できる機能は以下のとおりです。

  • コスト分析画面でカスタム ビューを直接保存、共有する
  • コスト分析のカスタム ビューを画像としてダウンロードする
  • 複数の軽微な修正や改善 (コスト分析のデザインのマイナー チェンジなど)

もちろんこれだけではなく、今後もどんどん新しい機能を追加していく予定です。ご希望の機能などありましたら、ぜひコメントをお寄せください。Cost Management ラボはこちらからお試しいただけます。

Cost Management ラボの [Overview] タブ 

コスト分析のカスタム ビューの保存と共有

コスト分析のビューは簡単にカスタマイズできます。目的の期間を選択し、データをグループ化して内訳を確認し、適切なグラフを選択するだけで準備完了です。カスタマイズしたビューをダッシュボードにピン留めし、ワンクリックでアクセスできるようにして、ダッシュボードをチームと共有すれば、すべてのメンバーが同じ画面からコストを追跡できます。

ピン留めボタンを使用してコスト分析のカスタム ビューを保存する方法

または、カスタム ビューへの直接リンクを共有すれば、他のユーザーがコピーして各自でパーソナライズできます。

コスト分析のカスタム ビューを共有する方法

どちらの共有方法も柔軟ですが、もっと便利な方法もあります。今回新たに、コスト分析画面から直接カスタム ビューを保存して、他のユーザーと共有できるようになりました。

コスト分析のカスタム ビューの保存機能を利用する方法

コスト管理の共同作成者 (またはそれ以上) のアクセス権を持つユーザーは、共有ビューを作成できます。共有ビューはスコープごとに最大 50 個作成できます。

すべてのユーザー (読み取りアクセス権のみを持つユーザーを含む) が、最大 50 個の個人用ビューを保存できます。これらのビューは、直接他のユーザーと共有することはできませんが、ダッシュボードにピン留めしたり、URL を共有して他のユーザーがコピーを保存したりできます。

ビュー メニューからはすべてのビューにアクセスできます。メニューの 1 番上に個人用ビューが表示され、次にスコープ全体で共有されているビュー、最後に常に利用可能な組み込みビューが表示されます。

保存済みのすべてのビュー (個人用、共有) が表示されたビュー メニュー

ポータルの外部でビューを共有する必要がある場合は、グラフを画像としてダウンロードし、たとえばメールやプレゼンテーションにコピーすれば、チームと共有できます。[Export] メニューの設計が若干変更され、グラフの表示中に [PNG] オプションが表示されるようになりました。テーブル ビューは画像としてダウンロードすることはできません。

ポータルの外部でビューを共有するための [Export] メニュー

今回のプレビューでは、以下のようにフィルター バーのデザインも一部変更しました。

  • [Scope] ピルに表示される文字数を増やし、スコープ名を確認しやすくしました。
  • 保存済みのビューの重要性が高まっていることを受けて、ビュー メニューのスタイルを変更しました。
  • [Granularity] と [Group by] のピッカーは、適用対象がわかりにくいというご意見を踏まえて、メインのグラフの近くに配置しました。

これはまだほんの序の口で、引き続きさまざまな機能強化を予定しています。ぜひプレビューをお試しになり、今後の機能についてのご要望をお知らせください。皆様からのアイデアをお待ちしています。

 

異なる通貨のコストの表示

組織ごとに決まりごとや課題は異なります。1 つの Azure 請求書を受領している場合もあれば、部門ごとに個別の請求書が必要な場合もあります。さらには、多国籍組織で複数の通貨の課金アカウントを利用している場合や、複数の通貨の課金アカウント間でサブスクリプションを移行する場合もあります。このように複数の通貨を利用する場合にも、ポータルでコストをまとめて確認できるようになりました。

コスト分析で複数の通貨が検出された場合、通貨を切り替えて各通貨のコストを個別に表示できます。現在は一部の通貨のみをサポートしており、通貨の換算には対応していません。たとえば、$1 と £1 の 2 種類の料金を請求されている場合、米ドルのみ ($1) または英ポンドのみ (£1) のいずれかを表示できます。現時点では、$1 と £1 の合計を米ドルまたは英ポンドで表示することはできません。将来的には、Azure Cost Management でコストを単一の通貨に換算し、すべての料金を米ドルで表示したり (この例では $2.27 など)、選択した通貨で表示したり (¥243.43 など) できるようになる予定です。

通貨の種類のメニュー

 

Azure Portal からの EA の部門とポリシーの管理

Enterprise Agreement (EA) を管理している場合は、Enterprise Portal をよくご存じのことでしょう。このポータルでは、毎月の利用状況、年額コミットメントのクレジット、追加料金を追跡できます。実は、この操作は Azure Portal でも行えます。Azure Portal では、コスト分析のリッチなレポート機能や、予算のきめ細かい制御など、さらに多くの機能を利用してコストを把握、制御できます。

また、Azure Portal から部門とポリシー設定を作成、管理できるようになりました。部門を作成すると、サブスクリプションを配置して整理し、代理アクセス権を付与してアカウント所有者を管理できます。ポリシーを設定すると、組織に対して予約インスタンスの購入、Azure Marketplace での購入、Azure Cost Management を有効化または無効化できます。組織内のすべてのユーザーがコストを確認、管理できるようにするには、アカウント所有者に対してコストの表示を許可してください。

Azure Portal で部門とポリシー設定を管理する方法

アカウント所有者に対してコストの表示を許可すると、RBAC のアクセス許可を持つサブスクリプション ユーザーも、リソースの有効期間全体のコストの確認、予算による支出の制御、コスト削減の推奨事項に沿った支出の最適化を行うことができます。コストの表示を有効化することは、組織全体のアカウンタビリティを高めるうえで不可欠です。有効化することによって、コスト管理の閲覧者ロールとコスト管理の共同作成者ロールを使用して、リソース グループ、サブスクリプション、管理グループに対するアクセスをきめ細かく管理できます。すべてのユーザーがそれぞれ表示可能な範囲でリソースやコストのビューや予算を作成、共有できるようにするために、コスト管理の共同作成者ロールを使用することをお勧めします。

現在も Enterprise Portal を定期的に使用している場合は、ぜひ Azure Portal をお試しください。Azure Portal に移動し、左側に表示されるお気に入りの一覧から [Cost Management + Billing] をクリックします。

また、キー ベースの EA API (consumption.azure.com など) から最新の UsageDetails API (英語) (バージョン 2019-04-01-preview 以降) への移行も忘れずに計画してください。次回の EA の更新時に Microsoft Customer Agreement (MCA) に移行すると、キー ベースの API はサポート対象外となります。現時点で UsageDetails API に切り替えることで、この移行がスムーズになり、後々の移行作業を最小限に抑えることができます。

 

コスト レポートのリソース タグのサポート拡大

タグ付けは、組み込みの管理グループ、サブスクリプション、リソース グループの階層外のリソースを整理、分類するための最適な方法であり、独自のメタデータを追加して、コスト分析でカスタム レポートを作成することができます。ほとんどの Azure リソースでタグがサポートされていますが、一部の種類のリソースではサポートされていません。今回新たにサポートされるようになったリソースは以下です。

  • VPN ゲートウェイ

タグは利用状況レコードの一部であり、タグを適用した後で Azure Cost Management レポートでのみ利用できます。過去のコスト データはタグ付けされていないため、最適なコスト レポートを作成するには、リソースのタグを今すぐ更新してください。

 

リソースへの最大 50 個のタグ付け

大規模な組織でコストを効果的に管理するには、コストをレポート エンティティにマッピングする必要があります。組織、アプリケーション、環境、その他の構成要素のいずれの単位でコストの内訳を表示する場合でも、リソース タグを使用することで、そのメタデータを追加しておいて、コスト、正常性、セキュリティ、コンプライアンスの追跡や管理強化のために再利用できます。しかし、レポートのニーズが時間と共に変化する中で、リソースに適用できるタグの上限 (15 個) に達したお客様もいると思います。今回、この上限が引き上げられ、各リソースに最大 50 個のタグを適用できるようになりました。

タグの管理とそのメリットの詳細については、「タグを使用した Azure リソースの整理」をご覧ください。

 

ドキュメントの更新

多数のドキュメントが更新されました。ここでは、皆様の参考になると思われるものをいくつかご紹介します。

すべてのドキュメントの更新をチェックしたい場合は、GitHub の azure-docs リポジトリで公開されている Azure Cost Management に関するドキュメントの変更履歴 (英語) をご確認ください。足りない情報がある場合は、ドキュメントの上部にある [編集] を選択して、簡単なプル リクエストを送信してください。

 

今後について

今回ご紹介したのは、先月から大きく更新された機能のほんの一部です。マイクロソフトは常に皆様からのフィードバックに耳を傾け、改善に取り組んでいます。ぜひ今後も積極的にお寄せください!

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