IoT で工場を接続することの可能性を理解する

デジタル化の目標を決定する

自分が所有している世界中の機械すべての状態を確認できます。私にとって、製造工程に関するこれほど多くのデータを同時に確認できるのはこれまでにない経験で、自分専用にモデルを構築してさらに深く掘り下げることができます。

デジタル テクノロジは製造業を変革しています。行き着く先を正確に把握していない場合や、自社にとってデジタル化が何を意味するかが定かでない場合は、デジタル化によってサポートされる組織の事業目標の種類を識別することが大切です。

デジタル化とは、最新のテクノロジを使用して製造工程を変革することを意味しており、多くの場合、工場に設置した装置を接続することから始めます。ここ数年で、接続をサポートするコンポーネントのコストが大幅に下がりました。RFID タグなどの消耗品を製品に組み込む費用はごくわずかになりました。センサーは手頃な価格になり、センサー機能を内蔵した新しい装置の販売量が増えています。また、古い装置でも、低価格で改造したり、IoT 対応にしたりできます。それと同時に、クラウドや高度な分析などのテクノロジのおかげで、センサーやデバイスから生成される大量のデータを収集して分析することが可能になりました。

デジタル変革は、このような機能を使いこなして、製造工程のスピード、効率、柔軟性を高めるために利用できる分析情報を入手することを意味しています。デジタル化に対応した製造の利点には、以下のものがあります。

  • 製造工程全体の可視性の向上 — 運用状態のリアルタイムな全体像を把握した上で判断できるようになります
  • 利用率の向上 — 1 か所で監視および管理するために必要な可視化を実現できるため、資産のパフォーマンスと稼働率を最大化できます
  • 無駄の削減 — 主要な製造メトリックに対する分析情報が得られるため、特定の形態の無駄を削減または防止するために迅速に対応できます
  • 対象を絞ったコスト削減 — リソース使用量のベンチマークを評価し、効率の悪い点を識別できるため、運用状態の改善がサポートされます
  • 品質の向上 — 装置の問題点をより迅速に発見して対処すると、品質上の問題を検出して防止できます

可能性を理解することに加えて、ターゲットにする事業目標を決めることが大切です。これは、ビジネス ケースのための土台となり、価値を証明するベンチマークを提供します。また、小規模なことから始めるようにし、開始する特定の地点を識別することも大切です。

データ ソースを試す

このシミュレーションでは、世界中で稼働している工場からのデータがリアルタイムで表示されます。これは感動的です。

シミュレーションが可能なソリューションで試すことにより、デジタル化で実現できる内容をリスクなしで確認できます。シミュレーションでは、実際の装置への接続は一切必要ないため、運用に影響が出ることがありません。

デジタル改革に理論上すばらしい見込みがあるのは確かですが、実際に実現しようとすると困難が伴うことがあります。たどるべき道が明確でないことが多いからです。次のように考えるのはよくあることです。「デジタル化とインダストリー 4.0 の全体的な価値はわかる。変化が必要なことも知っている。しかし、どこから始めたらよいかがわからない。」

うれしいことに、手を付けるためにすべてを含んだプロジェクト範囲は必要なく、最適な出発点を正確に決める必要もありません。重要なのは単に、対象を絞った初期プロジェクトをどこかの地点から開始し、実験し、反復することです。

装置を接続するシミュレーションは、リスクの低い環境で選択肢を検討するために役立ちます。シミュレーションには、運用に影響を与えずに、デジタルへの変更がどのように可視性の向上などの価値を提供するかを試してみる自由度があります。

シミュレートされたインターフェイスとダッシュボードを検討すると、世界中の装置を全体的に見ることの意味をつかむことができます。それには、パフォーマンスの全体的なビューと、個々の機械の状態に関する詳細な分析情報の両方が含まれます。世界中の製造工程を接続することはずっと後の手順になるとはいえ、シミュレーションの結果を直接見ることにより、目標を絞り込み、何が可能かをより明確に理解できるようになります

この努力をサポートするソリューションを決めるに当たっては、シミュレーションと実世界の資産の両方を手早く簡単にセットアップできるテクノロジを選ぶことが重要になります。たとえば、Microsoft Azure IoT のコネクテッド ファクトリ ソリューションでは、シミュレートされた環境を迅速に生成し、数分でデプロイすることができます。

理論上何が可能かをよく理解できたら、次の手順は、実世界の装置を接続して実験することです。

影響を与えずに装置を接続する

一度に数台の機械を接続して、それが機能するかどうか試すことができるので、製造工程に影響が出ません。小規模に始めることができます。

デジタル化で一度にすべてを実現する必要はありません。一連の特定の装置だけを接続すれば、自社のペースで小規模に実験することができ、しかも製造工程に影響を与えずに済みます。このようにして土台を作成した後、準備ができたら、組織全体に拡大します。

シミュレートされたデータを見ることと、実際の装置に接続してリアルタイムのデータを表示し、自社の製造工程から分析情報を得ることは、まったくの別物です。幸い、適切なテクノロジを採用すると、自社の装置に接続することへの移行を簡略化できます

シミュレーションに使用したのと同じテクノロジ ソリューションを使用することは、実際の装置に接続し、その装置が生成するデータを処理することへの近道にもなります。装置を接続することは、基本的なレベルでは、比較的簡単です。これには次のことが含まれます。

  1. 装置で使用されている通信プロトコルを判別する
  2. 複数の機械からのデータを統合するゲートウェイ デバイスに装置を接続する
  3. ゲートウェイをクラウドに接続して、状態と主要なパフォーマンス メトリックを可視化する

この後、装置からリアルタイム データの収集を開始することができます。

この手順を苦労せずに簡単に実施し、リスクと製造停止の可能性を最小限に抑えるには、柔軟で安全なテクノロジ ソリューションが重要であることを念頭に置いてください。たとえば、Microsoft Azure IoT のコネクテッド ファクトリ ソリューションでは、機械上に既に存在するソフトウェアを接続のために使用するので、機械そのものに何か新しいものをインストールする必要がありません

適切な種類のソリューションを選ぶと、装置を接続する際にその装置をオフラインにする必要がなく、個々の装置を自社のペースで接続できるため、すべてを一度に接続する必要がありません。1 台の機械を今接続して実験し、組み立てライン全体は来週接続する必要がありますか?そのようにする柔軟性があるはずです。すべてを迅速に接続し、できるだけ早く分析情報を入手する必要がありますか?テクノロジが原因で遅くなることはないはずです。

製造パフォーマンスのコンテキスト化と可視化

自分が所有している世界中の機械すべての状態を確認できます。私にとって、製造工程に関するこれほど多くのデータを同時に確認できるのはこれまでにない経験で、自分専用にモデルを構築してさらに深く掘り下げることができます。

装置を接続すると、運用の状態、異常、傾向、その他のパフォーマンスに関する分析情報の可視化の度合いが高まります。この可視化は、製造工程にさまざまな改良を加える基礎になります。

接続された装置の価値は、それが生成するデータにあります。機械を接続すると、主要業績評価指標のリアルタイムな可視性という利点が生まれ始めます。すぐにいくつかの分析情報を入手できるようになります。たとえば、次のようなものです。

  1. 各コンポーネントの圧力や温度
  2. 消費電流の量と、最近の増減
  3. 装置の現在の状態。オンラインかオフラインか?

これらのデータ ポイントは単純なものですが、重要です。製造工程をよりよく把握し、より良い判断を下し、応答性を高めることができるという大きな違いを生みます。しかし、データを持っているだけでは不十分です。直感的な視覚ダッシュボードを通して分析情報を簡単に収集できるようでなければならず、作業現場の技術者や工場の監視員など、情報に対応して行動できる担当者が分析情報を容易に入手できる必要があります。

これには、前のいくつかの段階と同じように、実験が役に立ちます。信頼性の高いテクノロジ ソリューションを使用すれば、データ ポイントを迅速に識別して、KPI の計算や根本原因の解析のために収集することができます。必要のないデータや、分析情報を提供できないデータを収集していることがわかった場合は、必要に応じて調整できます。クラウドベースのソリューションでは、収集する情報を容易に微調整できます。たとえば、Azure IoT コネクテッド ファクトリ ソリューションを使用している場合は、機械のところに物理的にだれかを派遣しないでも、収集するデータを制御することができます。

接続された装置からのデータは、傾向やパターンを明らかにするための土台にもなります。たとえば、履歴データを収集して分析すると、類似した装置について、また工場全体について、独自のパフォーマンス ベンチマークを設定できるようになります。リアルタイムのデータをベンチマークと比較すると、個々の装置が正常な範囲で動作していることを絶えず監視し、時間の経過と共に発生する微妙な異常を識別することができます。

デジタル式に運用状態を可視化した場合の潜在的な価値は非常に大きいものです。Automation World 誌の最近の調査によると、回答者の 4 分の 3 が、会社レベルで工場の作業現場データを利用しているものの、最もよく使うレポート ツールとしてスプレッドシートを挙げていました。コネクテッド ファクトリ ソリューションでは、運用上のインテリジェンスをすぐに自動的に入手できるため、工場レベルまたは会社レベルで、より良い判断をより速く下すことができます

データに基づいて運用上の変更を行う

いつでも、どの工場でもメンテナンスを計画できます。ダウンタイムを最小化するため、適切な部品と適切な技術者を手元に確保するようにしています。

最後に、接続された装置は変更を促進するときに役立ちます。異常をすばやく検出して修正できます。メンテナンス スケジュールを最適化して、製造停止を最低限に抑えることができます。可能になるデータ駆動型の改善の種類に制限はありません。

装置を接続することで得られる可視性は、それらの分析情報が運用上の変更を促進するときに価値が増します。可視性が高まり、より良い分析情報を入手できれば、問題点を識別してより迅速に対応し、より良い判断を下し、その他の運用上の変更を実施できるようになります。

たとえば、リアルタイムの分析情報を通して異常を検出することにより、より迅速に介入することが可能になります。故障しそうな兆候、たとえば電力消費の増加を示している機械を例にとって考えてみましょう。ライブ ダッシュボードを介してパフォーマンスを監視できれば、そのような状態が発生したとき直ちに把握することができ、迅速に修理技術者を派遣して問題に対処することができます。

同様に、ベンチマークと比較しながら監視すれば、さらに先を見越したアプローチをとることもできます。1 つの装置でベアリングの温度が上昇しているというシナリオを考えてみましょう。装置の製造元から提供された正常値のベンチマークや、類似した目的に使用されている類似した機械のデータを分析して得たベンチマークがあれば、温度が正常な範囲を超えていることをピンポイントで検出し、障害が発生する前にメンテナンスを計画することができます。ベンチマークと監視に関するこのアプローチを製造ラインや工場全体に適用すると、障害を未然に防止してコストを削減する能力が劇的に高くなります。

可視性の別のベネフィットは、パフォーマンスの低い機械と高い機械を識別し、それに応じた改善を施すことができるという点です。たとえば、1 つの工場では特定の機械が特別に高い利用率を示しているのに対し、別の工場では利用率が特別に低いとします。パフォーマンスを並べて比較できれば、こうした異常を示している機械をより容易に識別することができ、その原因を調査できます。機械の動作が最適化されていない、メンテナンスが適切に行われていない、操作員によって利用率に差が出ている、などの問題が明らかになることがあります。また、ベスト プラクティスを発見し、それをより幅広く適用しようと考えるかもしれません。装置全体で、また時間の経過と共にパフォーマンスを比較することができれば、このような種類の変異がいっそう明らかになり、容易に対処できるようになります。

ここで取り上げたのは、コネクテッド ファクトリの可視性によってサポートできる運用上の変更の数例にすぎません。その他の種類の変更としては、無駄やボトルネックを削減するための製造プロセスの最適化装置の追加または交換スタッフの配置やトレーニング手段の調整などがあります。自動的なデータの収集を開始して可視性を獲得した後は、次の自然な手順として、製造工程を改善する機会がひらけ、変更を実施することができます。

新しいシナリオや規模を実現する

必要な時点で機能を追加し、世界中の任意の場所で製造工程を最適化できます。現場の技術者は、製造工程に関するデータをこれまで以上に多く持っています。

単一の組み立てラインから、製造工程全体にわたって集約したビューにまで拡大します。新しい装置や機能を自社のペースで追加します。今のソリューションを出発点にして、予測メンテナンスなどのシナリオに拡張します。

ここまでの説明で、装置を接続するために必要な事柄と、収集できる分析情報について理解を深めることができました。次の手順は、プロジェクトを拡張することです。たとえば、組み立てラインを接続した状態から工場全体を接続した状態へ、さらに世界各地の複数の工場を接続した状態へと拡張します。製造工程について単一の統合されたビューがあれば、パフォーマンスについてより優れた分析情報を迅速に得ることができ、組織全体でパフォーマンスを比較できるようになります。また、サード パーティの委託製造業者と連携してその会社の装置に接続すれば、自社の製造工程だけでなく、パートナー会社の製造工程についても分析情報を取得できます。

より多くの装置や工場に拡大するだけでなく、デジタル化の努力の機能や範囲を拡張することもできます。現在のパフォーマンスと履歴データを可視化することは、予測メンテナンス プログラムやエネルギー管理を最適化するアプローチなど、その他のデジタル変革の強力な土台になります。

たとえば、当然次に来る手順として予測メンテナンスの検討があります。パフォーマンス データに予測分析を適用すると、メンテナンスが緊急に必要になるタイミングを識別できるだけでなく、十分に前もってメンテナンスの必要性を正確に予測できるようになります。これは、新しい機能を重ねることで付加的な価値を提供できる一例です。この場合は、機械学習などの予測分析機能を使用して、一連のパフォーマンス データの中から微妙なパターンや変化を検出します。

同様に、パフォーマンス データを他のビジネス アプリケーションに統合するという方法もあります。たとえば、フィールド サービス システムに統合できます。この場合、異常が検出されると、自動的にサービス アラートがトリガーされ、潜在的に問題のある装置に出向くよう技術者のスケジュールが自動的に設定されます。

デジタル変革には多くの形態があり、自社の製造工程に与える意味もさまざまです。新しいシナリオや規模を実現できたら、段階的なアプローチを使用して実験を継続し、ニーズや環境の進展に合わせて微調整を続けることが大切です。

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