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入学したばかりの学生であっても、業績好調なスタートアップ企業や大手企業に属する社会人であっても、財務的な制約と無縁ではいられません。このため、支出の品目や支出先を把握し、今後の支出計画を立てる必要があります。だれしも請求額を見て驚くような事態は避けたいはずです。ここで出番となるのが Azure Cost Management です。

マイクロソフトは常に、ユーザーの皆様の課題について理解するよう努めています。Azure Cost Management を通じて、クラウドでコストが発生している場所の的確な把握、不適切な支出パターンの特定と防止、コストの最適化を促進し、ユーザーの皆様が少ないコストでより多くの成果を達成できるよう支援する方法を模索しています。皆様からお寄せいただいたフィードバックに基づいて、今回は以下のような最新の機能強化と機能更新を実施しました。

それでは、順に詳しくご説明しましょう。

 

フィルターとコスト予測を活用した目標予算の作成

Azure Cost Management の予算作成機能を使うと、組織のあらゆるレベルの支出を追跡・監視することができます。予算は、課金アカウントや管理グループ、アプリを管理するリソース グループまで、あらゆる Azure リソースを対象に作成できます。今回新たに、Azure Portal で予算にフィルターを適用 できるようになりました。これにより組織全体から単一のリソースまで、あらゆる項目のコストを容易に監視できます。

たとえば、プロトタイプの作成作業で大規模な VM を 1 か月使用するために、所要期間を予想して Azure 料金計算ツールの料金に基づいて作業の承認を得る場合、親リソース グループで予算を作成し、対象の VM リソースでフィルタリングして、25%、50%、75%、100% のしきい値を指定します。これにより毎週設定した上限に達しそうな場合に通知を受け取ることができます。さらに、夜間や週末の自動シャットダウンを設定しておけば、最初の週で予算を使い果たしてしまう事態を防げます。

また、複数のサブスクリプションの複数のリソース グループ、テスト環境や運用環境、特定のアプリなど、さまざまな種類のコストを追跡できます。この場合は、すべてのリソースに「アプリケーション」などの固有のタグを付け、課金アカウントまたは管理グループの管理者に、それらのタグでフィルタリングされた予算の作成を依頼します。

もちろん、これだけではありません。リソース階層 (リソース グループ、サブスクリプションなど)、測定階層 (サービス、測定カテゴリなど)、その他のリソース メタデータ (場所、タグなど) のように、コスト分析で利用できるすべてのプロパティに基づいて、予算をフィルタリングして作成できます。

フィルタリングによる予算の作成に加えて、同じフィルターを使ってコストの傾向と予測を表示できるため、過去の使用パターンに基づいて事前に計画を作成したり、現実的な予算を設定したりすることが可能となります。

まだ予算を作成していない場合は、計画した予算を超過する前に通知してくれる予算作成機能を今すぐご利用ください

フィルターを活用して、コスト予測に基づく Cost Management の予算を作成

 

Azure Cost Management ラボの新機能

Azure Cost Management の新機能である Cost Management ラボの概要は、先月一足早くお伝えしました。その後早々に皆様からお寄せいただいたフィードバックにより、このサービスがどのように活用されているかを把握したうえで、エクスペリエンスを調整、最適化しました。そして今回、Azure Cost Management ラボに次のような機能を追加しました。

  • パブリック ポータルでカスタム ビューを保存・共有
    コスト分析の [Save]、[Save as] コマンドを使ってプライベート ビューや共有ビューを保存し、(スコープと日付の間にある) ビュー メニューを使って、プライベート ビュー、共有ビュー、組み込みビューを切り替えることができます。
  • グラフを画像としてダウンロード
    目的のビューを表示して、最上部の [Export] コマンドをクリックし、[PNG] オプションを選択して、[Download charts] ボタンをクリックします。
  • コスト分析でのダーク テーマのサポート
    8 月初旬に、コスト分析でAzure Portal におけるダーク テーマがサポートされることになりました。現在いくつかのポイントで最終調整を行っており、9 月初旬にはポータル全体で利用を開始できる予定です。

もちろん、これだけではありません。Azure Cost Management のすべての変更点は、Azure Portal 全体への提供を開始する 1 週間前に Azure Cost Management ラボに反映されます。ぜひ皆様のご意見や、今後希望する機能などをお聞かせください。Azure Cost Management ラボは、こちらから今すぐご利用いただけます。

 

コスト分析のカスタム ビューの保存・共有

カスタム ビューを保存・共有できる Cost Management ラボの機能を先月発表しましたが、今回、同じビューを Azure Portal で利用できるようになりました。先月の発表についてご存じない方のために、その内容を改めてご紹介します。

コスト分析のビューは簡単にカスタマイズできます。対象とする日付範囲を選び、内訳を表示するデータをグループ化して、最適な表示方法を選択するだけです。ワンクリックでアクセスできるようダッシュボードにビューをピン留めし、ダッシュボードをチームと共有すれば、全員が 1 か所からコストを追跡できます。

ピン留めボタンを使ってコスト分析のカスタム ビューを保存する方法

カスタム ビューの直接リンクを共有すれば、別のユーザーがコピーして独自にパーソナライズすることができます。

コスト分析のカスタム ビューを共有する方法

いずれの共有方法も柔軟性に優れていますが、さらに便利な機能が追加されました。コスト分析からカスタム ビューを直接保存し、別のユーザーと共有できるようになりました。

この機能を利用するには、最初に組み込みビューを選んでカスタマイズし、[Save as] コマンドをクリックします。ビューを共有するにはスコープに対する Azure Cost Management 共同作成者 (またはそれ以上) のアクセス権が必要ですが、プライベート ビューについては、保存、ダッシュボードへのピン留め、URL の共有をだれでも行うことができます。共有ビューは、スコープあたり最大 50 個作成できます。プライベート ビューは、スコープ全体で最大 50 個作成できます。

コスト分析のカスタム ビューを保存する方法

すべてのビューにはビュー メニューからアクセスできます。最初にプライベート ビューが表示され、次にそのスコープ全体で共有されているビューが表示され、最後にいつでも利用できる組み込みビューが表示されます。

保存済みビュー、プライベート ビュー、共有ビューすべてを表示するビュー メニュー

カスタム ビューの保存は、こちらから今すぐお試しいただけます。今後希望する機能もぜひお知らせください。皆様のアイデアを心よりお待ちしております。

 

コスト分析でのダーク テーマのサポート

熱狂的ファンを持つ Azure Portal のテーマと言えば、おそらくダーク テーマでしょう。ダーク テーマは、アクセシビリティを必要とする方、モバイル デバイスの電力消費を抑えたい方、単に見栄えを重視するという方にも、一貫したエンドツーエンドのエクスペリエンスを与えてくれます。環境の一貫性が保たれていないと、目が慣れるまでの一瞬にストレスを感じます。こうしたストレスを引き起こす最大の要因は、暗い配色から明るい配色に切り替わるような変化です。  しかし、もうその心配はいりません。Azure Portal のダーク テーマが、Azure Cost Management ラボのコスト分析でサポートされるようになりました。

ダーク テーマ

 

サブスクリプションの作成、管理における柔軟性の向上

組織が成長すればするほど、クラウドの利用が活発になります。アクセス権を要求するチームが増え、サブスクリプションの作成・管理作業に余計な手間がかかるようになります。この問題を解消するには、持続可能性と拡張性のあるガバナンス戦略を作成できる柔軟性が必要です。

数多くの組織が、増え続ける組織内のチームからの要望に対応するため、個々のチーム用に (リソース グループではなく) サブスクリプションを作成し、チームが必要とする Azure ソリューションを柔軟に構築できるようにしています。また、これによってコストとコンプライアンスの状況がサブスクリプションと管理グループに自然に紐付けられるため、ガバナンス報告の作業も簡素化されます。効率化のために、Enterprise Agreement (EA) 登録アカウントごとに最大 200 個のサブスクリプションを作成できるようになりました (以前は最大 50 個)。

Microsoft.Subscription/createSubscription API (英語) を使って EA と MCA のサブスクリプションを作成できることは既にご存じかと思います。この方法ではもともと、少なくとも 1 つのサブスクリプションをポータルで作成する必要がありました。今回この制限が廃止され、最初のサブスクリプションをポータルで開かなくても API から直接作成できるようになりました。また、サブスクリプションを CreateSubscription API から管理グループに追加できるようになりました。これにより、管理グループを使った組織のレポート作成やポリシーの割り当てを、さらに効率的に自動化できます。

また、Azure Portal で直接、従量課金 (PAYG) および MCA サブスクリプションの課金所有権の譲渡を依頼・追跡できるようになりました。同時に、オプションを使用することで、サブスクリプションを現在のディレクトリに保持し、Azure ロールベースのアクセス制御 (RBAC) によるロールの割り当てを維持することができます。これまではサブスクリプションを譲渡すると RBAC アクセス権がリセットされ、アクセス権の再設定のために追加の作業が発生していました。この新しいオプションによって、ニーズに応じてさらに柔軟に対応できるようになります。現在 Enterprise Portal で行うことができる EA サブスクリプションの譲渡は、今後 Azure Portal でも対応する予定です。

 

App Service 環境のタグの更新

6 月の更新では、App Service チームにより App Service 環境の使用状況データのタグ対応が追加されたことを発表しましたが、その後一部の組織から、この機能が動作しないという報告が寄せられていました。現在も App Service 環境でタグが利用できない状況が発生している場合は、それらのリソースに対するタグを更新してください。更新作業は、新しいタグを追加し、タグの変更を保存して、不要になったタグを削除するだけで完了します。この操作を行うだけで、8 ~ 12 時間後にはタグが反映された使用状況を確認できると思います。

データ更新頻度について、詳しくは「Cost Management のデータを理解する」を参照してください。

 

新しいビデオ

映像を見て理解したいという方のために、新たに 3 つのビデオが追加されましたので、ぜひご覧ください。

 

ドキュメントの更新

いくつかのドキュメントが次のとおり更新されています。

すべてのドキュメントの更新状況を確認する場合は、GitHub の azure-docs リポジトリで Azure Cost Management ドキュメントの変更履歴 (英語) をご覧ください。不足している情報を見つけた場合は、ドキュメント最上部の [Edit] を選択し、クイック プル リクエストを送信していただくようお願いいたします。

 

今後について

今回ご紹介したのは、先月から大きく更新された機能のほんの一部です。マイクロソフトは常に皆様からのフィードバックに耳を傾け、改善に取り組んでいます。ぜひ今後もフィードバックをお寄せください。

最新情報、ヒントやテクニックを入手するには、Twitter アカウント @AzureCostMgmt のフォローや、YouTube チャンネル (英語) へのご登録をお願いいたします。Azure Cost Management のフィードバック フォーラム (英語) では、アイデアの投稿や他のユーザーの意見への投票をお待ちしています。

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